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『TENET テネット』観てきました

シルバーウィークと言うこともあって、映画を2日続けて見てきました。
1日目は『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』、2日目は『TENET テネット』。

ヴァイオレット・エヴァーガーデンについては
「感想なんて野暮なことは言わないから、TVシリーズを観た人はそのまま映画見て欲しい。TVシリーズ未見ならNetflixでTVシリーズとTVスペシャル、外伝が配信してるからそれ観てから映画館行って」
となるので『TENET テネット』の感想(ネタバレなし)を書きたいと思います。

『TENET テネット』について、そもそも前情報は『ドクター・ドリトル』を観に行った時に流れていた予告編ぐらいで、
後は「死ぬ直前に考える自分の好きだった映画ベスト10」の上位に確実に食い込むであろう『インターステラー』のクリストファー・ノーラン監督の最新作だから観に行こうと思ったくらいでした。

さて『TENET テネット』の序盤のあらすじは以下の感じです。


特殊部隊隊員の男(主人公/名もなき男)がとあるオペラ会場で発生したテロ事件現場にて潜入調査員と思われる男から何かを回収するシーンから始まる。
実はテロも偽装であり相手も同じものを狙っている様子。
結果、主人公たちは回収に成功し、テロリストが偽装のために観客席に設置した爆弾の破棄(解除している時間は無かったので観客のいない2階席へ投げ捨てる)し会場を脱出するも、別の組織に捕まってしまう。
拷問を受ける主人公は相手の一瞬のスキをついて自害用の薬を飲み込む。
自害したはずの主人公は何処ともしれない場所で目を覚ます。
自害薬は自分を試すための偽物の薬であり、主人公をとある組織の一員として採用するかのテストだったと言う。
組織の下で活動することになった主人公は、組織の目的は第三次世界大戦を防ぐ事であり、その鍵である未来の技術である時間遡行『逆行』を利用する者たちについて調査を開始するのであった。


内容としてはミッションを次々に遂行していくスパイアクションですが、全体的な進行や端々で出てくる設定やセリフが入り組んでおり色々と考えさせる内容となっています。
例えば、何気なく言ったセリフ。それに至る過程が作中にあり、実はそれは主観ではそうであって本当は……みたいな事がある為、自分はセリフの内容を頭に入れつつ、全体の進行の模式図を頭の中で描きながら観ることになりました。
その為、「この部分、タイムパラドックスが起きているんじゃないか?」と思うところがありますが、作中に「考えるな、感じろ(意訳)」と逆行を調査する科学者に言われたり、逆行を経験している人物に「パラドックスは所詮理論に過ぎない(意訳)」「多世界解釈における他の世界線は俺達には分からない(意訳)」と言われるので、作中では問題ない話なのかと納得している自分がいます。

難解だと言われるクリストファー・ノーランの作品ですが、インターステラーも最初に観た時もそこまで難解ではないと思った事は無いのです。

SFにおける設定考証は実在する理論をベースにする事で現実味を持たせる事が多いですが、当然100%実在する論理で構成されている訳ではなく何割かはハッタリであるものです。(もちろん全て実在する論理で構成されたSF作品もあるかもしれませんが……)
その中でノーラン作品は比較的実在する論理の比率が高めか、もしくは複数の理論の都合のいいところを集めて設定を理論武装している様に感じます。
これは非難しているのではなく、自分の様な設定考証大好き人間にとっては『この上ないご馳走』なのです。
「物語世界ではその様な法則が成り立つ世界なのか。ではこの様な状況の場合はどの様に作用するのか」と考えたり、作中に起きた事「A」は設定的に考える法則がどの様に働いていたのかなどを考えると非常にワクワクするものがあります。

ちなみにこれは自分がSF関連の話をインプットする時に大事な事と考えています。
「こんな事、現実にはありえない」と批判することは簡単ですが、設定を受容しそれを元に劇中の出来事へ至る理由を考えたりすることを繰り返していくうちに自分の中で新しい設定や物語が生まれる事もあります。

さて話を『TENET テネット』に戻しますが、役者の演技もすごいですね。
一人(もしくはシーンに出ている人物全員)が逆行しているなら主観的にはそのまま、客観的には逆再生する、遠方にいる人間だけが逆行しているなら遠方の人間を合成するなどの方法をとれます(『TENET テネット』でもこれを使いますが、通常の時間のシーンと逆行のシーンが交互に出てくるし、しかも両方とも装備が似ているので見分けるのが大変でした)が、通常時間の人間と逆行の人間が格闘するシーンがあるのですが、明らかに逆行している人物の動きが不自然で、正に一人だけ逆再生されている様な動きをしているのに通常時間の人間と動きが噛み合っていると言うなんとも不思議で居心地の悪い(褒め言葉)シーンでしたが、頭の中の一部で「演じてる人大変だなぁ、視線とかどこ向けてんだろ(当人はフルフェイスヘルメット着用)」なんて事を考えるくらい、通常とは異なる演技をするところが有り、そこにも心のなかで拍手しておりました。

そんな感じで『TENET テネット』の感想を書いてきましたが、『TENET テネット』は面白いのでまずは「考えるな、感じろ(意訳)」の精神で鑑賞してみると良いと思います。

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