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SS:空き地の管理

 Yさんが学生時代の話だ。彼は高校に通うとき、結構な距離を自転車で通う。問題は近道があるのだが、そこは決して使うなと教師陣揃って言っていたことだ。
 そこは空き地なのだが、その部分をこっそり通れればかなりの距離をショートカットできる。だが、そこを通ることは固く禁じられている。確かに私有地を勝手に通るなというのは筋が通っているが、感覚的には理不尽に思えてしまうものだった。
 ある日、彼は寝坊をして大急ぎで自転車を漕いでいた。その時ふとあの空き地が目に入った。入り口には売地の看板こそ立っているし、中には雑草が鬱蒼と生えているものの、通ることは可能だった。
 遅刻するよりマシだとその空き地を突っ切って学校に着いた。ショートカットのおかげで何とか間に合ったので一安心した。
 別に彼に何かあったわけではないのだが、ただ……その空き地が翌日から入り口にしっかりとしたチェーンがグルグル巻きにされ、入れないように厳重に管理されていたことを覚えているらしい。

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