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SS:ごせんぞの警告

 Aさんが体験したことになる。彼女は毎年お盆には墓参りのため帰省するらしいのだが、その時に体験したことだそうだ。
 その年に帰省をしたとき、もうすでに夜遅くになっていた。車を運転していたのだが、お盆休みだというのに無駄に仕事が増えて嫌になっていた。
 そんな中荒っぽい運転をしながら実家への道を走らせていると、道路を渡っている老人が見えた。ブレーキを強く踏み『こんなところで道交法を無視すんなよ』と悪態をついたのだが、一度止まったため冷静になり、自分も随分荒っぽかったなと反省して安全運転で実家に帰った。
 実家で酒を飲んでごろんと横になると、飾ってある先祖の写真が目に入った。そこにはあの時道を横切ったおじいさんが見えた。
 彼女の家族によると、その方は第二次大戦の時陸軍だったそうで、なかなか苦労したらしく、戦後には口を酸っぱくして家族に運転には人一倍気をつけろと言っていたそうだ。
 そう言えばどうしてロービームで走っていたのにあの時止まれるだけの距離がある人が見えたのだろうかと思ったそうだ。

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