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SS:鍵のかかった倉庫

 Hさんが体験した事だ。
 小学生の頃、お昼休みにかくれんぼをして遊んでいたときの事だ。彼はとりあえず隠れる場所を探して体育倉庫に忍び込み、ボール入れの裏に隠れた。
 夏なのでそれなりに倉庫内は暑く、鬼の生徒もこんなところに長時間隠れているとは思わずスルーしていた。
 しかしいくらうん十年前とはいえ真夏のある日だ。体育倉庫内は結構な温度になっていた。彼は耐えきれなくなり出て行こうとした。しかし倉庫の扉にはしっかりと鍵がしてある。閉じ込められた事にしまったと思ったが、今更どうしようもない。
 人の気配が扉の前には来なかった。困り果てて暑い中を何とか耐えていると外で遊んでいる音が聞こえてきた。それに気づくとドンドンとドアを叩いてここに居ると知らせた。それから程なくして彼は助かった。
 クラスでは一人見つからないと言う事で大騒ぎになっていたそうだ。その事でこってりと絞られたのだが、教師側とHさんで意見に相違がある。
 たしかに倉庫には鍵がかかっており扉を押そうが引こうがずらそうがピクリとも動かなかったので鍵がかかっていたと思ったのだが、学校側は、確認してから鍵はかけるし、そもそも昼休みに鍵はかけないと言っていたし、実際開けた教師は鍵など持っていなかったという。
 何故そうなったのかは分からないが、それから出来るだけ体育倉庫は避けたし、必要なら外で待っていてくれる人と中に一緒には行ってきてくれる人の三人が必要になった。

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