Mさんはソーシャルゲームをプレイしていたのだが、その日は全快のイベントでクレジットカードの枠を限界まで使っていたので仕方なく、深夜だというのにプリペイドカードを買いにコンビニに向かった。
深夜でも明るく気楽に入って財布を開け、現金を取り出す。後三万円で天井なので仕方なく三枚万札を取り出しプリペイドカードと一緒にレジに置いた。その時後ろから声が聞こえた気がした。
「やり過ぎだ……」
その時は何も分からなかった。ただ、カードを買って家に帰ってからの記憶が無い。窓の外は真っ暗で、スマホで曜日を確認すると日曜日になっていた。
全く、いくらなんでも帰ってきてから深夜まで気絶なんてしょうもない水をするなあ……
そう思ってスマホのコード読み取りを出し、カード裏のバーコードを読ませる。すると三万円がチャージされたので目的のゲームを開いた。
しかし何かがおかしい、その時のイベントがクリア済みになっているのだが、それは見た事も無いイベントだった。おかしいなと思い再度ストーリーを読み直したが、新規イベントとしか思えない。
おかしいなとは思いつつ、ガチャの画面を開いた。そこには現在のイベントのヒロインがピックアップされているガチャが出てくる。それはさっき追いかけた謎のイベントだった。
ガチャのページをめくっても、一向にお目当てのガチャは出てこない。
冷静になって言ったんゲームをタスクキルした。そして再起動させて確かめようとしたときに気が付いた。起きたときに曜日が一つ進んでいたので、夜中の零時過ぎまで寝たのだろうと無意識に思っていたが、日付を見ると丸丸一週間時間が飛んでいた。
いろいろ頭をめぐったが、とりあえず翌日の朝一に上司に無断欠勤の連絡をしたのだが『何言ってんだ? ちゃんと出社して仕事をしてたじゃないか』と言われてしまった。
友人たちにも探りを入れてみたが、一週間記憶は無いのにまともな行動をしていたと思われる。結局、謎の一週間は時間が富んだと言う事で話がついた。原因はさっぱり不明だが彼は何かの拍子に一週間未来に飛んだのだと話していた。
そして心残りはその時のピックアップを引けなかった事だというので、彼は全くソシャゲを辞めるつもりはないらしい。