Fさんは出かける前に困っていた。スマホを充電パッドの上に置いていたのだが、中心からズレていたらしく、充電ができておらずこのまま持ち出すと電池が切れる状態だった。
どうしようかと思いながら、出かけるまではと思い僅かな時間でもケーブルを繋いで充電を始めた。
デートの前だというのになんて酷いのだろうと思っていると意識がふっと途切れた。
ピピピという音で気が付くと、スマホを充電器に繋いでいたところで目が覚めた。
寝るわけにはいかないと思ったのだが、時計を見ると何故か今朝の早朝に時間が戻っている。
スマホの充電は満タンになっており、今から出かけても問題無い状態だった。
彼女はいつも充電は無線で行っていたので充電器に繋いでいたという事は切羽詰まっていたのだろうと思うのだが、何故か昨日の夜から充電器に繋いでいたように充電が終わっている。
キツネにつままれた気分になったが、そのまま準備をしてデートに出かけた。そんな事が起きたのはあれ一回だったし、そもそも怪談ではないのかもしれないが、未だに説明のつけようがない事だそうだ。