Gさんは最近幽霊を見るのだと言う。
「幽霊が出てくるのは仕方ないんですがねえ、困った事が少々ありまして……」
彼は少し躊躇ってから言う。
「夢の中に少女が出てくるんですが、少し問題がありましてね……これ言っていいのかなあ……」
私は本当にダメそうならお蔵入りにしますからと言って彼に話を促した。
「その夢に出てくる少女なんですけどね……ブサイクなんですよ。いや、幽霊だから美人でないと行けないとかそういう考えはないんですがね、ほら、今はルッキズムがどうこううるさいでしょう? だから人にも『ブサイクな幽霊が出た』なんて相談出来ないんですよ」
彼はなんとも身も蓋もないと言うか、どうしようも無い事に悩んでいるらしい。幽霊が美人でないとならないと言うのはその通りだが、はっきり言う人だなと思った。
「その子供が俺の手を引っ張るんですよ、当たり前なんですが振り払ったところで目が覚めるんですよ。夢の中では湖の前に立っているので、きっとあのガキは引き込みたいんでしょうが、だったら疑似餌くらい見た目の良いものにしろって話ですよ」
彼は特に悩んでいないそうだが、もし霊が美人になったらと思うと少しだけ怖いと言うが、もう何年もブサイクのまま変わっていないので問題無いだろうときっぱり言い切った。