Fさんはお盆休みに帰省した際、一応霊体験をしたそうだ。一応というのは、霊が関係あるのだろうが彼女曰く、『あまりにもしょーもない』事だからだそうだ。
彼女がお盆に帰省した際、退屈するだろうなと思い、暇つぶしの道具を持って帰省した。ただ、予想外の問題が起きた。
実家に住む両親は、セールスに言われるがままに光回線の契約をしていたので、それを使えば暇つぶしには困らないだろうと踏んでいた。
ところがいざ帰ってみると伯父が使っていない回線は無駄だと言って両親に解約を勧め、未だにスマホを持っていない両親は回線を解約してしまっていた。
おかげで帰省をしてもネット回線を使うものがほとんど使えなかった。スマホはとっくに通信量の上限に達しているし、PCもネットがないとほぼなにもできない。
さて同様かと考え、暇だしとゲーム機を取りだした。最新のゲーム機ではなく所謂レトロゲームと呼んでいいだろう機種だ。
暇つぶしに電気街をぶらついているときに見つけ、童心を思いだし買ったものだが、小さいので空きスペースに入れておいたのだ。
早速それをやりこむことにした。なかなかどうしてレトロゲームと言ってバカにも出来ない。やりこみ要素が大いにあったので意外と時間が潰せた。
初日の夜、布団に入ってさっさと寝てしまったのだが夢を見た。夢の中にはもう亡くなって久しい大叔父が出てきた。なんだか怖い顔をしているなと思って、何かしただろうかと考えていると、カチャンという音がして、その姿は消え、次に気が付いたのは朝だった。
枕元を見ると、持ち帰ってきたゲーム機から電池がはずれ、実家の押し入れにあったのだろう、別のメーカーのレトロゲーム機が電池が入った状態でおいてあった。
そう言えばあの大叔父はゲームに一家言あり、特定のメーカーの信者だったなと思いだし、わざわざお盆にあの世から帰ってきてやることがこれかと呆れたそうだ。
「ね、笑い話でしょう?」
彼女はそう言って笑った。幽霊になろうと人間だった頃から成長したり考え方が変わるわけでもないんでしょうと言うのが彼女の持論だそうだ。