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SS:ぬか喜び

 Gさんが住んでいる町には禁足地というものがあるらしい。そこは無人の神社なのだが、誰もが立ち入るなと言っている。その理由を誰も語らないので彼は試しに参拝してみた。
 いくらうち捨てられているとはいえ、神社には変わりないのだから拝めば御利益でもあるのではないかと、社殿の前に立って百円玉をボロボロの賽銭箱に投げてから今にも切れて落ちてきそうな鐘を鳴らした。
 その結果、御利益はあるにはあったそうだ。翌日の競馬で彼は万馬券を当てた。やはり腐っても神じゃないかと喜び勇んで換金に向かったところ、確かに買ったはずの馬券がない。どうしても見つからないし、元のお金が大した金額では無いので払い戻しもたかが知れている。
 泣く泣く諦め帰ったのだが、あの神社のおかげで一応は当たったのだろうと思っているらしい。しかしなんとなくだがそこに近寄らない人が増えたのを理解して、今では彼もその神社の前を通るときは素通りしているらしい。

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