まだかつてPCはオタクの持つものとされていた時代の話。Zさんは当時としては破格の性能を持ったPCで重めのゲームをプレイしようとしていた。
マウスを繋いで、フロッピーディスクをドライブに入れ、起動した。するとゲーム画面が出てきたので早速ニューゲームを選ぼうとしたのだが、何故かマウスを操作してもなかなか思い通りに動かない。
当時は今の光学式マウスではなく、底面にボールの入った古式ゆかしいマウスを使っていたので、掃除をさぼったせいだろうかと思い、マウスを裏返してボールを支えているカバーを外した。
するとそこには大量の真っ黒な髪がからみついており、ボールがまともに動くはずは無い状態だった。
当時はマウスが今ほど激安とはいかなかったので、ピンセットまで持ち出してからみついた髪の毛を取り去っていった。
そうしてマウスの掃除が終わったので再び接続すると無事に動いた。ただ、彼はその後、光学式マウスの登場した時に、まだ高額だったにもかかわらず一も二もなく飛びついた。もしかすると髪の毛が絡んだのは一度ではないのかもしれないが、彼にとってはあまりいい思い出ではないらしく、それを語ってもらうことは出来ないのだった。