• 異世界ファンタジー
  • ホラー

SS:奇妙な感触

 Rさんはある夏の休日、冷房の効いた部屋で目が覚めた。朝食を食べて腕時計をつけてパチンとバンドをとめてから、スマホをポケットに入れて近所のコンビニに向かった。
 コンビニに着くといくつかペットボトル飲料と朝食用の栄養ブロックを買ってレジに行った。スマートウォッチで会計を済ませ、帰ってからネトゲでもしようとコンビニを出たところで違和感を覚えた。何かが間違っているような気がするのだが、それが分からなかった。
 アパートに帰りスポドリを飲み干して軽くシャワーを浴びた。そうして服を着ている時、袖を通して気が付いた。
 今手にはめているのはスマートウォッチ、バンドは樹脂製でありどこにもパチンと音が鳴るような金属部品は無い。そのはずなのに何故か朝手に時計を巻いてパチンと留めた感触が残っていた。
 何故だろうかと少し考えてから、そう言えば今日は時計を蒐集していた祖父の命日であることに気づいた。
 墓にでも参っておこうかと貴重な休みを丸一日潰してお墓参りをした。それからまだ次の夏にはなっていないが、爺さんの時計を相続のために親族揃って売り払ったので怒ってんのかな、なんて事を思った。

コメント

コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する