東海林さんは新年になったので新しくスマホを買うことにしたそうだ。とは言ってもやはりそれなりに高いものなので状態の良い中古で済ませようとしたらしい。
彼は大した使い方はしないのでサポートが切れようと気にしないし、そもそもその辺に詳しくないので使えればいいそうだ。
それなりに綺麗なものならいいと思い、有名な中古家電店に向かった。そこでスマホを売っていることは以前いったときに知っていた。それなりの安さだったのでそこで済ませればいいだろうと踏んでいた。
「そこで安くなっているスマホを買ったんです。見た目が綺麗なら多少古いものでもいいと思っていたんです」
そして彼は白くて汚れの無い機種を一つ選んだそうだ。どの機種だったかは書けない、東海林さんは機種名なんて気にしなかったらしく、それを処分してしまった今では確かめようがない。何故処分したのかが問題だ。
「なにが問題ってそのスマホ、きちんと初期化されていたのに何故かデータが入ってるんですよ。前に使っていた人のデータじゃないはずだし、なによりそれが写真なんですが不気味なんですよ」
「その写真なんですけど、本当に何故かは分からないんですが写っているのが私なんですよね。私が子供の頃の写真が入っているんです。この年ですから子供時代にスマホなんて無いですよ。なんで入っているのか分からない分不気味で仕方ないです」
しかも問題はその写真が増えていくそうだ。毎日彼の成長の記録を残すように徐々に成長していく様子が写真に残っていく。もちろん自分で撮影は出来ないし、過去の写真を撮影してデータにしたというわけでもなさそうだ。
「それさえ気にしなければ問題無いとは思っていたんですが……ちょっとだけ問題が出てきまして」
彼は現在、毎朝起きたときに洗面所に行くと、その鏡に映るのが子供の頃の自分になっているらしい。すぐに今の自分が写るように変わるのだが、不気味なのであのスマホのカメラ機能は使わないようにしているらしい。