Iさんは当時、結婚を視野に入れて付き合っている人がいた。週末には泊まりにいっていたし、買い物を一緒にしたり、レジャーランドにも行った。彼女はそろそろ婚約も秒読みだろうと思っていた。
そしてお盆になり、彼女は帰省をした。せっかくの休みを彼と過ごせないのは残念だったが、親族への報告くらいはしておかないとならないだろうと思っての帰省だった。
田舎の実家に帰ったのだが、帰り着くなり母親に『あんた何かあったの?』と聞かれた。まだ恋人の存在は話していなかったはずなのだが……
怪訝に思い何かあったのか聞くと、数ヶ月前から仏壇で先祖の位牌が倒れていることが頻発しているという。
実家には家族が住んでおり、上京したのは彼女だけだったので、彼女に何かあって倒れているのでは無いかと思ったらしい。
少々気まずい滑り出しとなったのだが、彼女は恋人の存在を話した。すると母親が『仏壇を見てきんさい』と言ったので仏壇に向かうと、位牌はたっていたのだが、線香を祀ろうとろうそくに火をつけたところで先祖の位牌が一斉にパタンと倒れた。
幸先が悪いなと思ったが位牌を起こして線香を祀った。その上でろうそくを消して仏壇に背を向けると、またパタンと位牌が倒れた。流石にこうも続くと偶然で片付けることは出来ない。
家族で話し合い、少し彼氏だった男の素性を調べた。するとお金のある女性数人と関係を持ち、派手な遊び方をしていることが分かった。
結局、それでお付き合いは解消となったのだが、先祖も随分と過保護だなと彼女は思ったらしい。