会場には、彼女達がまだいた。
どうやらオーナーさんと親しく話していることから、お知り合いだと思われる。
その二人組のうち、どうやら後輩らしき女の子がモロにタイプなのだとか。
「ほら、これ絶対運命ですって』
いや、違うと思うが?
こいつ節穴か?
『聞いてます?」
「聞いてる聞いてる」
「ちょっと! 運命なんですって絶対!」
…運命か。
素敵だね?
でもそうなるとさっきの海鮮レストランもそうなってしまうんだが?
お客様と話してると、目を逸らされるくらい目がバキバキにキマッていて、くっきり二重なんだが?
いつもは奥二重なんだが?
いや君のせいじゃないのはわかってる。
でも僕が眠れないのもその運命とやらにどうかひとつ混ぜて欲しいんだが?
ちょうどその時、別のお客様が僕のブースに来た。マーケッター君から解き放たれた僕、いやさ彼。
正直気が気じゃないんだが…
でも大人だしな。
マーケッター君、保身の塊だしな。
大丈夫だろう。きっと。多分。おそらく。
地元離れたら無茶苦茶するのが、礼儀だとでも思ってる節があるけど、大丈夫だよね。
◆
そして接客が終わって彼を見たら、マーケッター君はオーナーさんと二人組に混ざって和気藹々と話していた。
そうだよね。
心配し過ぎだよね。
そう思い、会場の外に出た。
ひと段落+お仕事メッセをしようとしていたら、マーケッター君とそのちゃんねー二人組が現れた。
なんでだよ。
「あ、墨色さん! 探したんですよ!」
「そうなの? ごめん」
会場の横には大きな駐車場があって、そこに二人組は車を止めているらしく。お見送りだそうな。
でもその後がいけない。
「さっき墨色さんと言ってたんすよ、二人とも可愛いいよなって」
いや、言ってないが?
マジかこいつ。