人は誰しも観光地に赴けば、地のもの時のものを食べたくなるだろう。
例えばご当地なラーメンなんかは、忙しい展示の合間にちょうど良かったりする。
地元の方に聞けば、上手くいけば1時間でありつける人気店があるのだとか。
時刻は11時半。
前後半2班に分かれての昼食は、僕は後半だった。
1時間ならまあいいかと快く了承してみれば、時刻はすでに14時。
全然帰ってきやしねぇ。
僕は朝サービスエリアで食べてから食べてない。
しかも移動中、助手席の人間が寝るのはちょっと抵抗があるなと全然寝れなかった。
そしてウェルカムコーヒー(100g1600円!?)を振る舞ってもらい、バカバカいただいた。
やべえくらいフルーティーなコーヒーだった。
眠気を飛ばしていることに気づいてなかった。
しかし、お昼寝はしておきたい。
何やら女性客二人と和気藹々と話していたマーケッター君もペコペコだろう。
そうしてようやく前半組が帰って来たかと思えば、とても気まずい顔をしていた。
それはそうだろうけど、確か10人しか並んでないって言ってたのに。
理由が知りたい。
どしたの?
「いや、普通に出てくるのが遅すぎた」
どうやら一人に対して全力過ぎる大将だそうで、その遅すぎるラーメンで、度々お客さんと喧嘩になるのだという。
「そんなの想定してなかった」
だろうね…僕もだよ。
でもまあ仕方ない。
マーケッター君とお昼に出ようとしたら15時を過ぎていた。
18時から懇親会なのに。
寝てないのに。
お腹ペコペコの彼にごめんよと言うと、「さっきの二人、夜遊べないすかね? 俺ちょっと気になるっす」
「…」
どうやらお客さんを口説こうとしていたようだ。
マジかよ。
そして車でマーケッター君が見つけてくれていた海鮮料理屋さんに向かうと、テーブルの上に椅子が乗っていた。
飯難民だ。マジかよ。
しかしマーケッター君はあまり狼狽えていない。
それどころかソワソワしている。
「帰ってきてまた居たら一緒にいきましょうよ」
いきましょうってこいつ…ペコペコってもしかしてそっちなんじゃ…
そして彼女たちは居た。
一人は高いヒールの落ち着いたギャル風の女性。年齢はおそらく20代後半。もう一人は後輩なのか年若い黒髪ポニテの大人しい女性。
ニヤリと笑ったマーケッター。
やべぇ。
こいつ放っては全然寝れないじゃないか…他の作家さんがマジ仮眠しなよって言うくらい目がバキバキにキマッてるらしいのに。
続く。