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ヤンデレ双子姉妹リメイク版冒頭部分

『何の取り柄もない平凡な俺が美人双子姉妹を命懸けで助けた結果、実はヤンデレだった2人をガチ惚れさせてしまった件』のリメイク版冒頭部分です。

リメイク前とは大幅にストーリーを変える予定で、基本的に涼也と玲緒奈、里緒奈以外は全員新キャラです。

タイトルも

『美人双子姉妹から一方的にクソデカ感情を抱かれた挙句気付いた時には逃げ道すら完全に無くなっていて詰んでしまったモブキャラBな俺の話でもする?』

に変更します。

以下本文

 人は生まれながらに平等とはよく言うが正直俺はそれについてかなり懐疑的だ。容姿のように人生に大きな影響を与える重要ステータスがこの世に初期スポーンした時点で変更不可なのは流石に不平等過ぎやしないだろうか。
 例えば身長百八十センチあってイケメンなクラスメイトの|梶谷潤《かじたにじゅん》と身長百六十七センチしかなく容姿も平凡的な|八神涼也《やがみりょうや》という人間を比べたらどっちが有利なのかは明白だ。
 クラスのトップカーストに所属している梶谷はきっとこれからどこへ行ったとしても今と同じようなリア充メインキャラで居続けるに違いない。
 それに対して俺は多分これからもずっとあまりパッとしないメインキャラの陰に隠れたモブキャラBくらいのポジションのまま過ごす事になれだろう。
 世の中のリア充が一人残らず爆発すれば良いのに。そうしたらきっと俺のようなモブキャラBでも生きやすい世界になるはすだ。

「ねえ、玲緒奈。今日な放課後はどこへ遊びに行く?」

「うーん、どうしようかな?」

「あっ、じゃあ駅前のカラオケに行きたいな。久々に思いっきり歌って日頃のストレスを発散したいし」

 いつものように心の中で自虐しつつリア充の滅亡を願いながら帰る準備をしていると教室の後ろからそんな声が聞こえてきた。
 クラスの陽キャ女子三人組が放課後どこへ遊びに行くかで盛り上がっているらしい。ちなみに女子グループの中心にいるのは茶髪ロングヘアと百七十センチ近い長身が特徴の|剣城玲緒奈《つるぎれおな》だ。
 イギリス人の血が四分の一流れている剣城さんは容姿端麗な上にスタイル抜群という生まれながらにして勝ち組になる事が約束されたようなスペックをしているため本当に羨ましい。
 ちなみに剣城さんには隣のクラスに全く同じ顔をした一卵性の双子である|里緒奈《りおな》という名前の妹がいる。髪型や性格違うため何とか見分けはつくが、その辺りの違いが無ければどっちがどっちかは絶対に分からない。

「……あんな子が俺の彼女になってくれたら良いのにな」

 剣城さんの綺麗な横顔を見て思わずそうつぶやく俺だったがどう考えてもそんな事は絶対にあり得ない。それこそ何かしらの奇跡でも起きなければ。
 意外な事に剣城さんは彼氏がいないらしいがどうせ梶谷のようなハイスペックイケメンと付き合って楽しい学生時代を過ごし、社会人になってから数年後に大企業勤めのエリートとでも結婚するに違いない。
 やけに具体的で生々しい想像をしてめちゃくちゃ虚しくなってしまった俺はリュックを背負ってゆっくりと席を立つ。
 今日は朝から思いっきり寝坊して一時間目の授業に遅刻しそうになった上に教科書を忘れて怒られ、挙句クラスで唯一仲の良いオタ友が風邪を引いて休みだったせいでボッチ飯をするはめになって本当にろくな事がなかった。
 でも明日と明後日は土日で学校が休みなためゆっくり出来るからまだマシか。とりあえずこの後は近所にあるショッピングモールの本屋に寄って中をぶらぶらしてから帰ろう。ちょうど欲しいと思っていた漫画もあるし。

「あっ、八神君。ちょっと待って」

「……ふぇ?」

 剣城さんの横を通り過ぎようとしたタイミングで突然彼女から声をかけられた俺は思わず凄まじく間抜けな声を出してしまった。
 俺のようなモブキャラBにメインキャラの剣城さんが話しかけてくるなんて一体何事だろうか。そんな事を考えていると剣城さんは俺の後ろに回り込んでリュックを触り始める。

「リュックから筆箱が落ちそうになってたよ」

「あっ、ありがとう」

 どうやら剣城さんはリュックの隙間からはみ出して落ちそうになっていた筆箱の存在に気付いて友達と話すのをわざわざ中断してまで声をかけてくれたようだ。美人な上に性格も良いため剣城さんは本当に非の打ち所がない。
 今まで告白をして撃沈した奴らが大勢いるとは噂で聞いていたがこれならダメ元で突撃する気持ちも分かる。まあ、賢い俺は絶対にそんな愚行なんて犯さないが。

「今日はろくでもない一日だと思ってたけど良い事もあったし不幸はこれで全部チャラかな」

 剣城さんにお礼を言ってから教室を出た俺はいつもよりもテンションが高かった。禍福は糾える縄の如しという言葉があるように不幸の後にはちゃんと幸福もやってくるようだ。

「でもさっき幸福が来たって事は順番的に次は不幸の番なんじゃ……」

 いや、今日は朝から連続して不幸ばかりが訪れたのだから幸福だって続いても全然おかしくはないと思う。うん、絶対そうに違いない。
 俺はめちゃくちゃポジティブに物事を考えていた。自分が思っていた以上にさっきの事が嬉しかったのかもしれない。今なら前から狙っていたSSRキャラが引けるかも。
 そう思った俺は貯めていた石を全部注ぎ込んでソシャゲのガチャを回したわけだが盛大に爆死してしまった。なるほど、しっかり幸福の後に不幸が訪れてる。
 でもこの理論で行けば今度こそ絶対に幸福がやってくる番だ。一体どんな幸福があるのかは分からないが楽しみに待つ事にしよう。

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