戦争参加の決意をした以上、真央達は戦う術を学ぶ必要がある。
いくら大きな力があるからといって、いきなり戦場に放り込んで戦果を出せというのは無茶な話だ。
そのあたりの事情は教会の側でも予想していたらしく、聖堂教会の本山が存在している山の麓に広がる【ハインリヒ王国】にて、勇者と仲間たちの受け入れの態勢が整っているそうだ。
なにやら王国と教会はその立地以上に密接な関係があるらしく、受け入れ体制は完璧とのことだ。
詳しくは聞けなかったが、創設者と教会の関係があったとかどうとか。
神殿から王宮までの直通の道を通った真央達は、今度はすぐに玉座の間に案内された。
教会に負けないぐらいのきらびやかな外装は、とても人間が滅びかけているようには思えないものだった。
道中、騎士のような鎧を着た者たちや文官らしきもの、メイドや使用人らしき者達とすれ違うがその全てから、期待に満ちたような、あるいは畏敬の念に満ちた視線を向けられ、恭しく礼をされることになる。
これも勇者達の気持ちを前向きにさせるための企みだろうか、なんて思うのは、真央が擦れているからだろうか。
美しい意匠の施された両開きの扉の前に到着すると、その扉の両サイドで不動の姿勢をとっていた兵士二人が、一同の来訪を中にいるであろう国王等に告げ、中からの返事を受けて扉を開け放った。
その一瞬スールシャルの眉が苛立たしげに動いたのに気づくものはいなかった。
スールシャル、そして生徒達が続々と扉を潜る。
くぐった先にはまっすぐと伸びるレッドカーペットと、その奥には玉座があった。
玉座には、覇気と威厳を纏った初老の男が座っており、そこにスールシャルが近づくのに合わせて玉座から立ち上がった。
その隣には王妃と思われる女性、そして十歳ほどの美少年と、もう少し年上の美少女が控えていた。
更に、レッドカーペットの両サイドには、甲冑や軍服を纏った武人たちや、文官等らしきものたちが、ズラッとカーペットを挟むようになって立っている。
玉座の前につけば、生徒たちをそこに留め置いたスールシャルが王に近づいて握手をし、そして互いに熱い抱擁を交わす。
どうやら教会と王国の力関係の差はそうなっているらしい。
それが終われば、後はただの自己紹介だ。
国王が名前をランノベ・M・V・ハインリヒといい、王妃がルナリアというらしい。
美少年がランデル王子、美少女がイリアナという名前だ。
後はレッドカーペットの左右に立つ者の中から、騎士団長や宰相等、高い地位にある者の紹介がされた。
おそらく今後世話になる相手、ということだろう。
その後は豪華な晩餐が開かれ、美味しい食事を堪能して、真央達の王との謁見は終了した。
収穫としては、王宮で真央達の衣食住は保障されていることと、訓練における教官達の紹介もされた。
教官たちは皆現役の騎士団や宮廷魔法師から選出されているらしい。
創痍王の実力者でないと、勇者に教えるのにふさわしくない、ということだろう。
晩餐が終わり解散になると、一人一室ずつ部屋を与えると伝えられ、全員にメイドがついて案内された。
天蓋つきの巨大ベッドに愕然としたのは真央だけではないだろう。
メイドが下がった後、真央はベッドに腰掛けて、唯一持ってくることが出来た本の表紙に触れる。
一般人として生活していた少年が戦争を知り、「こんなの人の死に方じゃない」と叫ぶ。
戦争という非日常に駆り出されて、自分は、彼のように正常なままでいられるだろうか、彼のようにまっすぐな意思を貫き通すことは出来るだろうか。
そんなことを考える。
しかしそれでも眠気は襲ってくるもので真央はすぐに横になると、意識を暗闇へと落としていくのだった。
******
翌日から早速座学や訓練が始まった。
座学と聞いたときにはわざわざ異世界に来てまで勉強か、という声があったが、先に訓練が来たことでそれも無くなった。
まず集まった生徒たちに配られたのは、おおよそスマホぐらいの大きさの銀色のプレートだった。
なお各生徒が持っていたであろうスマホは、召喚で置いてこられたのか誰も所有していなかった。
配られたプレートを不思議そうに見る生徒たちに、騎士団長として教官の長を務めるロイド・ルギウスが説明を初めた。
騎士団長直々に訓練についているのは、やはり『勇者一行』に半端な者をつけるわけにはいかないということらしかった。
「全員受け取ったな? このプレートは、ステータスプレートと呼ばれるものだ。ステータスと呼ばれる、自分の客観的能力を数値化したものを示してくれるものだ。この世界において最も信頼のおける身分証明書でもある。お前たちの場合は、示せば大抵の場所には入れる。失くすなよ?」
他の文官や騎士たちとは違ってざっくばらんな話し方をするロイド。
これは彼の素の性格が豪快なのもあるが、勇者を神聖視した結果孤立させないため、あるいは、勇者とはいえ戦友になる相手と他人行儀で話すべきではない、という本人の考えから来ているらしく、他の騎士団員達にも普通に接するように求めていた。
真央達もその方が気楽で助かっていた。
昨日からそうだが、遥か年上の老人のような人たちからかしこまられるのは居心地がわるくて仕方がない。
せめて普段多く接する教官の人たちだけでも、というのが真央達生徒一同の思いだ。
「プレートの一面に魔法陣が刻まれているのがわかるか? そこにどこでも良いから体の一部をしっかり押し付けてくれ。親指とかが良いな。それで所持者が登録される。“ステータスオープン”とか“ステータス”とか言えば表に自分のステータスが表示されるはずだ」
「そんな凄い力がこの板にあるんですか?」
そう疑問そうに尋ねるのは大輝だ。
「一応それもアーティファクトだからな。効果は折り紙付きだ?」
「アーティファクト?」
聞き慣れない単語に生徒たちが首を傾げる。
「アーティファクトってのは、現代じゃ再現できない強力な力を持った魔法の道具のことだ。神やその眷属によって神代に作られたと言われている。そのステータスプレートもその一つでな。そいつにだけはそれを複製するアーティファクトが付随しているから、昔から広く世界に普及しているんだ。普通はアーティファクトといえば国宝ものなんだが、これはいくらでも複製できるし、身分証明にも便利だからな。一般市民にも流通しているぐらいだ」
なるほど、とロイドの説明に頷いた生徒たちは、各々に指の先端を魔法陣の部分に押し付ける。
するとピリッとした痛みとともに指の先端が切られ、そこから流れた血が魔法陣に吸い込まれた。
「便利だろ? 昔は自分で切る必要があったらしいが、今じゃあプレートがそこまでやってくれる」
そう自慢気に言うロイドに微妙な顔をしつつ、生徒たちは各々のステータスプレートを見る。
真央も同じ様にそれを見た。
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飯野真央 17歳 男 レベル1
天職:魔王・幼体(偽装表示:兵士)
筋力:35
体力:35
耐性:30
敏捷:25
魔力:20
魔耐:20
技能:気配感知・気配隠蔽・武術の道・言語理解・速足・可能性の獣・ステータス偽装・ステータスプレート偽装・捕食吸収・魔物の王・技能封印
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表示された。
それを見た途端急いで真央はそれを操作し、見られては困るところを隠蔽していく。
ゲームのようだ、とか思う暇は無かった。
ステータスプレートを偽装する方法については直感でわかったので、それですぐにステータス、特に技能欄や天職欄を改ざんしていく。
ついでに技能封印で、通常の兵士が持っていてはおかしそうな技能を封印して効果を発揮しないよう設定した。
その間に、ロイドからステータスの説明がなされた。
「全員見れたな? 説明するぞ。まず最初に『レベル』があるだろう。それが上がると各ステータスも上がる。逆に、各ステータスを鍛えても、レベルは上がる。相互的な関係になっている数値だ。上限は100で、それが人間という種族の限界を示している。つまりレベルは、その人間が潜在的に発揮できる能力のうちどれほどまでを引き出せるか、を示していると思ってくれ。レベル100なら、その能力を完全に発揮しているわけだ。まあそんなやつはそうはいない」
ステータスとレベルの相互作用。
それで真央は少し疑問が解決された気がした。
ゲームでモンスターを倒して経験値でレベルとステータスが上がるのはよく分かるが、それとは別に筋トレなどをしないのか疑問だったのだ。
「ステータスは日々の鍛錬で当然上昇するし、魔法によるバフや魔法具で上昇させることも出来る。また魔力の高い者は、自然と他のステータスが高くなる傾向にある。仮説だが、魔力で体のスペックを無意識に補助しているのではないか、と考えられている。ああ、そうだ。魔法具と言えば、後でお前等に装備を選んで貰うから楽しみにしておけ。なにせ勇者御一行だからな。国の宝物庫大開放だ!」
その言葉に生徒たちが湧きそうになるが、ロイドの説明の続きが始まり静かになる。
「逆に、モンスターを倒すことでレベルが上がって、それによってステータスが上昇する、なんてこともある。だが勘違いしてほしくないのは、レベルが上ってステータスが上がっても、その全てを発揮できない場合がある、ということだ。単純な話、ステータス相当に元の体が鍛えきれていない場合だな。レベルが上がればステータスはある程度の最低値は保証されるが、最大値を発揮するにはちゃんとした鍛錬が必要だ。そしてレベルの最大のステータスを鍛錬で超えれば、今度はステータスの上昇に合わせてレベルが上がる。この二つはこういう関係になっているんだ」
その理にかない具合に真央は大きく頷いた。
確かにそれが、ステータスとレベルの関係として大きく理に適っている。
魔物からの経験値でもレベルは上がるが、それだけでは能力は発揮しきれず、それを発揮するための鍛錬が必要、ということだ。
まあそれも当然の話で、そうでなければ才能を与えられた真央達が訓練をする意味が無くなる、なんて話になってきてしまう。
「次に『天職』ってのがあるだろ? それは言わば『最大クラスに才能を持つ職業』だ。勘違いしてほしくないが、その個人の中で最大クラスに、というわけじゃなく、人間の中で最大クラスとも言える才能があれば、そこに天職が表示される、というわけだ。天職持ちは非常に少ないが、一番最後の『技能』と連動して、その天職の領分においては無類の強さを発揮する。ちなみにさっき天職持ちは少ないといったが、戦闘系天職は千人に一人、ものによってはもっと遥かにすくない。逆に非戦闘系の天職、それこそ『メイド』なんかは百人に一人、ものによっては十人に一人いても珍しくはない。生産職も結構持ってるやつが多いな」
真央は自分のステータスを見る。
取り敢えず職業は偽装して兵士に。
物騒な技能系も全部偽装したり封印したりした結果、なんかめちゃくちゃ寂しいものになってしまった。
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飯野真央 17歳 男 レベル1
天職:兵士
筋力:35
体力:35
耐性:30
敏捷:25
魔力:20
魔耐:20
技能:気配感知・武術の道・言語理解・速足
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「各ステータスはそのままだ。大体レベル1の平均が10ぐらいか。ま、お前等なら遥かに高いだろうけどな! 全く、頼もしいがちょっとうらやましいな! あ、ステータスプレートの内容は報告してくれ。訓練の参考にせにゃならん」
偽装した結果の真央のステータスは、良くも悪くも平凡。
まあ一般人よりは遥かにマシではある、程度のところに落ち着いている。
後でそれぞれの技能の効果も確認しないといけない。
そう考えていると、ロイド団長の呼びかけに、早速大輝と美玖がステータスの報告を死に前へ出た。
そのステータスは……
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神川大輝 17歳 男 レベル:1
天職:聖騎士
筋力:100
体力:100
耐性:180
敏捷:100
魔力:100
魔耐:150
技能:全属性耐性・物理耐性・剣術・剛力・盾術・縮地・先読・気配感知・魔力感知・金剛の盾・命の盾・言語理解
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真央をして、(これだよ、これこれ! これぐらいの転生チートが無いとやってられんわボケ!)と叫び散らかしたくなるようなステータスだった。
「ほおー、聖騎士とはまた珍しい天職だな。しかもレベル1ですでに三桁……技能も普通は二つか三つなんだが……。いやはや、本当に規格外だ! 頼もしい限りだな」
「あ、ありがとうございます」
ロイドの称賛に照れたようにお辞儀をする大輝。
ちなみに団長のレベルは62で、ステータス平均は300前後。
他にも一般騎士団員が、普通に100ぐらいなら超えてはいる。
だが大輝はまだレベル1なのだ。
成長率次第では容易く追い抜く未来が見える。
ちなみに、『技能』=才能であるため、これは先天的なもので後から増えたりはしないらしい。
その後もステータスの開示は続いていく。
大輝だけかと思えば皆大層なステータスで。
そんな中真央は灯の様子が少しおかしいのに気づいた。
その灯が、おそるおそるロイドの前へと進んでいく。
「ほう! ついに来たか! 勇者御一行の中でも選ばれた勇者!」
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藤澤灯 17歳 女 レベル:1
天職:勇者
筋力:100
体力:100
耐性:100
敏捷:100
魔力:100
魔耐:100
技能:全属性耐性・全属性適性・物理耐性・複合魔法・剣術・剛力・縮地・先読・高速魔力回復・気配感知・魔力感知・限界突破・癒やしの波動・言語理解
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なんと、灯が勇者だったとは。
大輝が勇者ではなかった時点で真央は、(職業勇者じゃなくて、皆勇者で職業はばらばらって感じなのかな)と思っていたのだ。
それが、なんと普段彼らと一緒にいるとはいえ控えめな灯が勇者という天職を引き当てた。
その事に、真央は灯を心配すると同時にどこか作為的な者を感じてならなかった。
そしていよいよ、真央の番が訪れてステータスプレートをロイドにわたす。
それを見たロイドは一瞬固まった後、改めてステータスを見始めた。
(わかる、すごく微妙なステータスだもんな)
ステータスの数値としては、他にも並ぶものが何人かいる。
だが技能の中身が寂しすぎるのと、天職の『兵士』が微妙すぎるのだ。
「まあ、その、なんだ……」
「頑張ります。出来る範囲で」
「そうしてくれ。一応、戦闘系の天職ではあるから戦いに問題はないはずだ」
プレートを受け取った真央が元の位置に戻ろうとしていると、先に見せ終わっていた連中に話しかけられる。
「どうだった?」
「んや……ステータスは良いけど技能と天職が微妙、なのかな。まあなんとかなるやろ」
「そか。まああんまり人に見せていいもんじゃ無さそうだし、見せてくれとは言わないでおくわ」
「そうしてくれ」
「といいつつ俺等は見せあったけどな」
そう言いながら互いを指差す山口と牧島。
「なんだそれ」
そのいつもと変わらないおちゃらけ具合に、真央はひりついていた心が癒やされるのを感じるのだった。
なお、他で目立つところで言うと、美玖が魔法剣士、嵐が闘拳士という戦闘系の上位天職を引き当てており、一人だけ大人の大原千穂先生には治癒師という回復系のこれまたレアな職業が当たっていた。
というか全員分見る限り、表上一番平々凡々なのが真央なのは、仕方ないことなのだろう。
スキル構成的にも隠蔽・偽装してくれと言われているし、と開き直って、真央はしばらく兵士をやることを決めたのだった。
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初めての訓練が終わり、夕食や風呂も済ませた真央は、他の者達より一足早く自分の部屋へと戻った。
考えるのはやはり、真央の真の天職についてだ。
しばらくの間、この世界を生き抜く力をつけるまでは兵士を続けるつもりであるとは言え、その間何も考えずにいて良いわけではない。
むしろ普通にここで兵士が出来ているうちに、将来的にどうするのか考えて置くべきだと思ったのだ。
選択肢は二つ、いや、三つあると思う。
一つ目はそのまま正直にロイドやクラスメイトに明かすこと。
今の段階ならクラスメイトもいきなり仲間を切り捨てるほど覚悟も固まってないだろうし、ロイドも脅威とは見なさず確保ぐらいで許してくれるだろう。
ただ問題は、それが露見してしまえば勇者一行から魔王が出現したということになってしまうということ。
勇者を神聖な存在としてプロパガンダにして使いたスールシャルや国王からしてみれば、真央の存在は邪魔になってしまう。
そのときは護送中に盗賊の襲撃にあって死亡した、なんて作られた事実がクラスメイト達に伝わるだろう。
ということで、この選択肢については身の安全が保障できない以上は無しだ。
というかやっぱりこの世界の魔王が厄ネタ過ぎるので、やっぱり教えるのは駄目だ。
ちなみにクラスメイトに明かす、というのは最初から考えていない。
山口や田辺といった普段から仲の良い連中ならば別だが、報酬欲しさに俺を売り渡すやつや、事ある事に俺を敵だと言ってクラスの輪を乱すようなやつが発生しかねない。
別にクラスメイト(一部除く)を卑劣で卑怯な人物だと罵るわけではないが、人間非常事態になると何をするかわからない。
そして今はその非常事態だ。
更に言えば、自分と同じ程に思慮深くも無い、と真央は普段のクラスメイト達の言動から判断していた。
良くも悪くもクソみたいな家庭環境と多くの書に触れたことで真央の精神は年齢に比してそれなりに高く成長しているのである。
加えて、どう転ぶにせよこの味方が三十プラス一名しかいない状況でそのクラスのバランスを崩すのは致命的すぎる。
少なくとも、個人個人が自立して生きていく能力を身につけられていない今はまだ。
王国と教会が大事に飼ってくれている間に力を伸ばしておくべきだ。
内部で揉め事をやって、分裂した一部が出奔したり王国に取り込まれたり、なんてことも有り得ない話ではないのだ。
故にクラスメイトに話すのもまた選択肢として無い。
で、次は二つ目。
それは、このまま隠せるだけ能力については隠し続けながら、王宮の図書館など出来る限り情報収集をし、それと同時に戦士としての強さを確実に身に着けておくこと。
これは一番安全択な選択肢だ。
なにせ、真央がバラそうとしなければ、そうそうバレないはずだからである。
理由は単純で、真央の側からは召喚された直後から天敵であることが感じられた灯が、真央に対して何も感じている様子が無いからである。
つまり【天職:魔王・幼体】の偽装能力によって、普通に人間を続けられる可能性が高いのだ。
ただ一点、この選択肢には穴がある。
それは、外部から気づかれるのではなく、なんらかの反動で真央が魔王としての本性を顕にして暴走してしまうこと。
そうなってしまった場合、逃げ切れなければ詰みだ。
そこで三つ目の選択肢。
適当な時期にクラスから離脱し、王国の監視下を離れて一人で旅に出る。
そしてひっそりと旅をしながら、この天職の謎を探っていく。
人目が無ければ、物騒そうだった技能も使うことは難しくないはずだ。
これならば、クラスメイトにバレる心配は少なくなるし、自分がどうすべきかもより見えてきやすくなる。
それに真央が思ってる《《ぶっ飛んだこと》》も狙える可能性がある。
デメリットとしては、一人になってしまうことと、場合によってはクラスメイトと敵対してしまう可能性があること。
つまるところ、早いうちに申し出て旅に出るか、あるいはずっとここに居座り続けるか。
精神的に楽なのは後者だが、後々苦難を踏み越える力を得ることが出来そうなのは前者だ。
「まあ、しばらく迷うか……」
とりあえずある程度考えたところで、眠気に襲われた真央は眠りについた。