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小物系ラスボスに見た大きな可能性(AC6ネタバレ)

 三週目限定のルートで戦う真ラスボスが世間では賛否両論……の、どちらかと言えば“否”寄りのようです。
 一週目・二週目のラスボスは、大局の真相を握る育ての親ハンドラー・ウォルターor人類とコーラルの新たな可能性を示唆する、主人公の脳内に発生したパルス体のヒロイン・エア(色々と語弊はありますが)
 それに引き換え、三週目限定の真ラスボスは、
 敵対すれば主人公に悉く蹴散らされ、共闘すれば主人公が大ボスを仕留めるのを指をくわえて見ているような日陰者扱いだった男、某特殊部隊No.5と言う微妙な立ち位置のイグアス。
 より正確に言えば、本編の争い全てを利用して更なる陰謀を企てたAI“オールマインド”がイグアスの人格を取り込んだもの、と言う存在です。
 確かに一見すると、ウォルターとエアに比べ、ラスボスの格として見劣りを感じがちなのかも知れません。
 
 かくいう私も、ストーリーの要所要所で噛み付いて来るのを撃退した、ネームドの敵キャラくらいの印象しかありませんでした。
 決戦前までプレイヤーに「何でこいつが真ラスボスなの?」と思わせるくらい扱いが軽かったのも布石だとするなら、フロムソフトウェアの采配は見事だと言うほかないと思います。
 イグアスの立場に立ってみれば、同じ世代の強化人間なのに、どうやっても勝てない。
 一戦ごとに悔しさを募らせるのも道理です。
 
「テメェ(主人公)は気に食わねえ」
 というチンピラそのものの行動原理しかないイグアス。
 星系ひとつを巻き込んだ資源争い――をも利用して陰謀を巡らせたオールマインドのそれを挫いたのは、そんなイグアスと主人公との、小さな意地の張り合いでした。
 戦いの終盤、ラスボス機体の主導権は完全に、オールマインドからイグアスに掌握されてしまいます。
 後にあるのは、一個人同士の泥臭い殴り合いのみ。
 ヒトを駒としてしか捉えていなかったオールマインドは二人の意思など理解できる筈もなく、
 イグアスの暴走に対して「こんなイレギュラーは取り込むべきでは無かった」とコメントする様は一週回って痛快でした。
 
 そして最後の最後、散り際に吐露されるイグアスの、
「イラつくぜ。俺は、テメェみたいな野良犬に憧れちまってたんだ(意訳)」
 と言う、たったひとつの本心。
 エアの死に際「貴方と共に生きたかった(意訳)」や、ウォルターの「お前の稼いだ金だ。この金で再手術をして普通の人生を――」よりも堪えました。
 ここまでの流れでイグアスを“格下”だと侮るように誘導されてきての、これなので。
 

 私としては、コーラル資源争いの先にあるウォルターとエアと言う大物の後だったからこそ、相応しい真ラスボスだと思いました。 
 FF16でもそうでしたが、ラスボスが小物だと言うだけで受け付けないと言う意見は一定数見受けられます。
 しかし、人間の弱さやエゴ、生き汚さが、AIや神の余裕ぶった謀略を凌駕すると言うのも、また最高の人間賛歌なのではないかと思います。
 
 なお、素で20回くらい殺されました。
「俺もじきに消える……テメェは先に地獄に行ってろ」×20

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