ラヴクラフトの“博物館の恐怖”、および、私の東京ラヴクラフトリゾートの23話~25話のネタバレにご注意下さい。
今回登場したラーン=テゴス、および、その崇拝者であるロジャーズ、その助手であるオラボーナの元ネタはラヴクラフト作品でもマイナー(と思われる)“博物館の恐怖”からきています。
ロジャーズ曰く「ラーン=テゴスは無窮にして無敵、万が一ラーン=テゴスが死ねば、旧支配者クトゥルフも、外なる神アザトースですらも復活できなくなる」程の大物だそうです。
引き合いに出される邪神が大物過ぎて逆に胡散臭いと思った方は、ご名答です。
このラーン=テゴス、実際には崇拝者がロジャーズ一人しかいない事、
また、どうも野良犬を細々と捕食していたらしい事、
そして、原作の“博物館の恐怖”では、それなりに猛威を振るったものの、結局被害者である主人公に逃げられてしまっている事から、巷では最弱の旧支配者とも言われているようです。
更に、物語の結末は「主人公を捧げ損ねたロジャーズがラーン=テゴスに喰われてしまった上、オラボーナが余裕綽々とラーン=テゴスを射殺した上で“新たな作品”に作り直した」と言うオチであり、最後の最後でオラボーナに見せ場を全部かっさらわれている始末です。
ちなみにこのオラボーナ、浅黒い肌をしたアラブ系の男だそうですが、ラストの不遜な態度と相まってコアなファンには「あの人(?)では」と推測されているそうです。
この作品はもともとラヴクラフトがゴーストライターを依頼され、元々渡されたプロットがひどい出来だったので辟易としながら書いたと言う説があります。
自著からアザトースら大物を引っ張り出して、その実、ラーン=テゴスを狂的に崇拝するロジャーズの姿は、皮肉を込めて書かれたのでは無いかと邪推します。
とは言え、TRPGなどではラーン=テゴスを普通に強大な旧支配者として扱う向きもあるそうです。
書く人の匙加減で如何様にもアレンジ出来るのも、クトゥルフものの懐の深さはありましょう。
また、某夢の国テーマパークとクトゥルフものを悪魔合体したのは脊髄反射の思い付きではありましたが、「原作世界を体験できるアトラクション」という形式が予想以上にマッチして嬉しい誤算です。
また、アトラクションの紹介文に既視感を覚えた方は決して「シンデレラ・フェアリーテイル・ホール」で検索してはなりません。