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どこよりも遅い合格発表と、背理法

 あ、お久しぶりで~す。一応京大に受かってました。この春からまたよろしくお願いします。

 で。
 今日、こちらの作品を拝読させていただきました↓。
https://kakuyomu.jp/works/16818622171890683433
 ざっくり言うと、白いモノが全部赤色に置き換わってしまった世界の短編です。
 小生ひねくれてるので『これワンチャン背理法で世界観の矛盾を証明出来るんじゃね?』と思って試してみました。
 できました。
 応援コメントに書き込んだのですが、流石に誰かにチェックしてほしいので、上記URLと下に添付の画像で誰か検証してくれ。後輩たち頼む。
 そして俺のような人間を、迷惑読者と呼ぶ。

2件のコメント

  • おめでとうございます!
  • 合格おめでとうございます

    沢山の色を含む白色光線を単一色の赤色光線が代替すると、光の色の仕組みが崩れるのでこの世界はありえない、というのがSlick先輩の主張で、確かに間違っていないと思います。ただし、主人公たちの色覚を現実(の標準的とされる色覚)と同じものと仮定した場合に限ります。

    例えば赤シートで目を覆うと白い物が赤く見えますが、主人公を含む登場人物や社会の全ての人がこの「赤シート」を目に貼り付けられているという想像ができます。より正確にすると、目に入ろうとする白色光線を赤色光線に変換して見せるフィルターか何かです。

    「白って200色あ」りますが、「白」とされる(光の)色の範囲は恣意的で、原理的には言語によって異なります。「白」には例えば「ベージュ」、「灰色」、「象牙色」などといった色と隣接していますが、作中でこれらの隣接色(概念)は言及されておらず、元の色のままなのか、赤色に変わっているのかはわかりません。(トイレの便座や牛乳も赤くなっているので「白」はだいぶ広い判定になっているのだとは思いますが。)

    何より、作中で主人公は「白」という色にこだわっています。

    「真っ赤になってしまったノートに、何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も…『白』を連続して書いていく。/白が欲しい。/白を見たい。/何でこの世界から白が消えたんだ。/だいたい、白はこの世界で一番重要な色じゃないのか。」
    「…何だか頭から血を流しているみたいで気持ち悪い。/ああ、白が恋しい。/白い雪が恋しい。/白い雲が恋しい。/白い歯が、白目が恋しい。/真っ白な牛乳が飲みたい。/真っ白なヨーグルトが食べたい。/とにかく、白に会いたい。/白を見たい。/白…白…何か白いものは…」

    この「白」は、主人公のこれまでの「白」にまつわる記憶の蓄積そのものです。つまり、主人公が恋焦がれている「白」とは単なる白色光線である以上に、「主人公にとっての『白』」であり、また「主人公の元の世界の日本語の『白』」でもあります。

    例えば、「薄色」と言ってピンとくるでしょうか。(くるかもしれませんね。)こない人にとって、「薄色」は存在しない色であり、「見えていない」色です。元の世界で主人公が「白」を見ることができていたのは、またこの作品世界で主人公が存在しない「白」を意識できているのは、何よりも主人公が「白」という色を知っていたからです。

    本筋に戻ります。最初の仮定を外せば、この小説の描写は(光学的には)決して非現実的ではないことが分かります。「白」(先述の通り、主人公が知っている「白」)を赤(同様に、「赤」とされる色)に変換するフィルターを全ての人がつけており、またそのフィルターに気づいていない、という想像をするだけで、この作品世界の光の色が現実と全く同じように矛盾なく働いていると考えることができると思います。もちろん他にも色々な想像ができるはずです。

    以上、迷惑後輩でした。
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