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帆船概説③:揚力と抵抗と進路

 帆船が揚力を発生させる原理と、最終的な進行方向について簡単に説明します。素人知識な上、分かりやすさを優先した為に誤りがある可能性はご承知置き下さい。

【揚力発生のメカニズム(左図)】
 図では真横から風を受けた場合を想定していますが、それ以外の角度でも真後ろ以外は力の向きが変わるだけで同様です。
・帆の前後に風が入ると帆の後方では①、帆の前方では②の様に空気が流れます。この様な状態になった場合、②の空気の方が①の空気より流れる距離が長くなります。
・この様な状況になると長い距離を流れる②の空気の方が①の空気より速度が上がります(川の流れと同じと考えて下さい)。何で?と思うかもしれませんがこれは物理現象としてそうらしいので飲み込んで下さい。
・流体(この場合は空気)は速度が上がると圧力が低下する法則があるので②の空気は①の空気に比して低圧となります。この結果、帆の前後で気圧差が発生し、帆は緑の矢印の方向に吸い寄せられるのです。これが揚力と呼ばれる力です。
注)同時に空気の流れに沿って抗力と言う力も発生するが今回は複雑になる為に割愛しています。

 上記で理解し難い場合、正確ではないが以下の様に考えると理解し易いと思われるので併記します。
・実線a、bの距離が同じ場合、a、bの範囲を通過する空気の量は同量になります。
・しかしその後、空気が進める空間はA、Bとなり、同一の空間(体積)に存在する空気の量(質量)はA<Bとなります。これは帆の前方の空気の密度が後方より下がる事を意味し、それはすなわち気圧差が生まれると言う事になります。結果、帆は斜め前へ吸い寄せられる事になるのです。

【実際の進行方向(右図)】
・帆が生み出した揚力を①とした場合、ベクトル分解から前へ進む力②と横へ進む力③が取り出されます。
・船が進むと船は水の抵抗を受けます。前から受ける抵抗を④、横から受ける抵抗を⑤とします。図では④は②の1/4、⑤は③の1/2として表記しています。当然この値は環境によって変化します。
・最終的に相殺された力は前方向②ー④、横方向③ー⑤となりこれを分解前のベクトルに戻すと⑥となります。これが船が実際に進む進路になります。
・実際にはこれに加えて海流や潮流、川の流れ等の影響が加わります。

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