司馬遼太郎の戦国時代関連作が多すぎて、まどろっこしいので映画「関ケ原」を見てみると、大筋のところはよく分かった。
主人公の石田三成(岡田准一)が真面目に「義(正義)」を説くので、家康(役所広司)は「不義」となるし、「利」ばかりを追うのはいかがなものか、と問いかけるので筋が通っている。
岡田准一は「燃えよ剣」の土方役も見事だったし、常に動作がキビキビしていて眼光が鋭く、馬上から矢を放って簡単に敵兵に当たっても「さすが三成殿でござる!」と言いたくなる。
誰でも三成側に肩入れしたくなると言いたいところだが、結果は味方の大名に統制が取れず、裏切りもあって敗北してしまう。狸親父で碌なところがない、人心掌握に長けた家康が勝ち誇っているかと思うとガッカリであった。ここから徳川の天下が数百年も続くことを考えると、明治維新万歳と言いたくなる。
映画としては三成側が次々と負けて行く姿がクライマックスとなるが、一応は心理的な救いもあり、伊賀者の諜報戦もあり、恋愛要素もありで、大作の持つ豪華な感じもある。
「細部はやっぱり小説を読まないとね~」と誰でも思うだろうし、2時間半ほどかけて、小説の予告編を見たという印象だった。
石田三成以外は、加藤清正=かなりの愚か者、松山ケンイチの演じる直江兼続=知性派、など、誇張されている面もありそうだが興味を引かれた。