ファルナの国の物語【第一幕完結】

　これは、失われた太陽を取り戻すまでの物語。

　月の国と呼ばれる島国――ファルナ国。
　数百年前、この国は太陽を失っていた。突如、太陽が地上を焼くようになってしまったため、『月の子』と呼ばれる魔法使いが作った魔法結界によって、太陽の光が拒まれているのだ。
　そんな、月が朝を告げる国にて――新たな『月の子』が誕生した。
　ナズナ・フレール。生まれながらに“月の魔法”という、他の魔法使いにはない特殊な魔法を持つ彼女は、次期『月の子』として、幼い頃から軟禁生活を強いられていた。
　『月の子』は太陽から国を守るため、死ぬまで自らの魔力を国に捧げる運命にある。そう教えられたナズナは、その決まりを受け入れつつも、外に出られない日々に不満を抱いていた。
　そんなある日のこと、部屋に一人の青年が訪れる。
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