第16話 企画の立て方をおさらいしよう(企画編最終回)


 ここまでの説明で、企画を立てる際に確認すべき事柄、外してはいけない要素、企画のまとめ方がわかったかと思います。

 企画の具体例をあげつつ、各項目をおさらいしていきましょう。



 ■ノベルゲーム制作における『企画』とは?


『企画』

 プロジェクトの根幹となる『アイデア』。もしくはその担当者。


『企画書』

 企画を簡潔な文章や、わかりやすい図にまとめたもの。



 ●企画を練るにあたり、最初に確認すべきことは?


『予算』………開発資金のこと。これがないと何も始まらない。

『スケジュール』……ゲームの開発期間。発売予定日を確認しよう。

 ⇒『予算』と『スケジュール』から、企画の『規模』が把握できる。




 ●企画を練るにあたり、最初にまとめるべきことは?


『テーマ』  

 商品、作品の方向性、雰囲気、味わいを決めるもの。

 自身の想いを掲げ、作品がブレないように。


『コンセプト』 

 テーマを表現するための『アプローチ=切り口』。

 コンセプトは、企画のおもしろさに直結する。


『アピールポイント』

 商品、作品を手に取ってもらうための『売り』。

 企画の中身を言語化、数値化して、興味を惹かせよう。


『ターゲット』

 商品、作品を売り込む対象。購買層のこと。

 ターゲットを意識することで、企画のブレがなくなる。



 テーマを基に、コンセプト、アピール、ターゲットを決める。その逆も然り。

 作品としてのおもしろさを重視するか、商品としての売りやすさを重視するかは、 企画の主旨、テーマによる。様々なアプローチがあるので、試行錯誤を繰り返そう。



 ■企画の具体例

 ●美少女ゲーム企画 『幼なじみは大統領』


『スケジュール』……開発期間:12ヶ月

『予算』………………2000万。フルプライス(¥ 9,800 )作品。


 ・攻略可能ヒロイン:4人

 ・シナリオテキスト容量:1.8M

 ・主人公以外、フルボイス

 ・CG枚数:100枚前後

 

『テーマ』

 できるかできないかわからないなら、やってみよう!


『コンセプト』

 隣に住んでいる美少女の幼なじみが、アメ○カ大統領になっちゃった!


(2009年当時、流行っていた)国の擬人化、女体化の流れ。

 パロディ多め。アメコミ的、洋画風アプローチで、『アメ○カっぽさ』を演出。

 破天荒なネタを前面に推した、ゆるーいドタバタラブコメ。

 『真面目にバカをする』がシナリオコンセプト。


『アピール』

 ALcot制作陣がフル参戦(メーカーのファンを安心させる要素)

 プー○ン大統領、オ○マ大統領、宇宙船など、個性豊かなヒロインが登場。

 チャイナ服やサンタコスなど、コスプレ衣装を用意。Hシーンも満載。


『ターゲット』

 コミカルな作風で、ニコニコ動画などを見ている若年層を狙う。

 新ジャンルに挑戦。新規ユーザーを増やし、次作へのステップアップとする。

 30代後半のシニア層、今までのALcotファン向けには作らない。




 ●新企画 『航空自衛隊モノ(仮)』


『スケジュール』……開発期間:12ヶ月

『予算』………………2000万。フルプライス(¥ 9,800 )作品。


 ・攻略可能ヒロイン:4人~10人(要相談)

 ・シナリオテキスト容量:1.8M

 ・主人公以外、フルボイス

 ・CG枚数:100枚前後


『テーマ』 

 飛翔。不況な世の中を吹き飛ばすような、明るく前向きな生き様を描く。


『コンセプト』

 飛翔=空を飛ぶ=ド直球に航空自衛官ものにする。

 飛翔を精神的成長と捉え、ドン亀ヒロインが作中で出世(成長)する。


『アピール』

 シナリオ容量3M。プレイ時間80時間保証。

 登場ヒロイン10人! 全員にHシーンあり。


『ターゲット』

 将来に悩む若年層に作品のテーマを訴える。

 ミリタリーファンも納得の作品にする(ライト向けではない)


『メモ』

 専門用語が出てくるので、辞書機能を搭載する(後日、仕様をまとめる)

 群像劇にすると、キャラクター毎のシナリオ容量が薄くなる(要相談)

 航空自衛隊に取材をしたい(希望)




 ●新企画 『ゾンビアイドルモノ(仮) ライブを止めるな!』

 

『スケジュール』……開発期間:7ヶ月

『予算』………………1000万。ミドルプライス(¥ 5,800円 )


 ・攻略可能ヒロイン:2人

 ・シナリオテキスト容量:900K

 ・主人公以外、フルボイス

 ・CG枚数:50枚


『テーマ』

 起死回生。失敗しても諦めなければ、夢は’必ず’叶う!

 災害からの復興。挫折から不死鳥のように蘇る。


『コンセプト』

 復活=ゾンビ。アイドルになる夢を、ゾンビとして蘇って叶える。

 ゾンビ×アイドル、という新しいアプローチの方法。

 流行のアイドルもの(アイドルマスター、ラブライブ!)

 +ゾンビもの(ウォーキングデッド、カメラを止めるな)を取り入れた。


『アピール』

 有名イラストレイター ○○氏がキャラデザを担当。

 BGMも有名クリエイターが担当。鉄壁の制作陣。

 アイドル=歌って踊れるアイドル声優さんも起用(交渉中)


『ターゲット』

 キャッチーでインパクトのあるネタで、ライト層を狙う。

 制作陣のファン、声優ファンを取り込む。


『メモ』

 ヒロインは2名なので、アイドルデュオか、ライバル関係にする。

 オープニングをアニメにしたいが予算がない。

 挿入歌を数曲作成。初回特典にしたり、後日まとめてCDとして販売。

 キャラクターをイケメンにして、女性向けにしてもよい(今なら修正可能)

 ご当地アイドルにするのも面白そう。佐賀県とコラボしたら、どやんす?


(※企画サンプルとして書いています)




 ■まとめ


 いかがでしたか?(一度やってみたかった)

 企画の概要がなんとな~く掴めてきた気がしますね。


 企画書を書いている段階で浮かんできた疑問や問題点はメモとしてまとめます。


 現状の企画書は『前提条件として決めるべき事柄』をまとめたものです。


「テーマは飛翔で、航空自衛隊モノというコンセプト」「テーマは起死回生で、ゾンビアイドルもの」「ア○リカの大統領をヒロインとする」などなど、『企画の根幹に関わる外せない要素』をベースに企画の具体的な中身を決めます。


「ネタ的に陸自の方がおもしろそう。舞台を変えようかな」と悩んだとき「でも、航空自衛隊が舞台というコンセプトがあるから変えない!」と企画内容がブレずに済み、設定を決める際の指針ともなるわけですね。


 テーマ、コンセプト、アピール、ターゲットは、企画の成否を握る重要項目。

 一度の会議で、すべての項目を決めなくてもかまいません。メンバー同士でしっかりと意見を出し合い、目指すべきゴール地点を決めましょう。




 ■今回でノベルゲーム制作講座『企画編』は終了です



 次回からはノベルゲーム制作講座『雑談編』になります。

 引き続きよろしくお願いします。





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