第11話 コンセプト決めが、企画のおもしろさに直結するのはホント?

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 ・コンセプトとは、テーマを表現するためのアプローチ=切り口。

 ・コンセプトは、企画のおもしろさに直結する。

 ・様々なアプローチがあるので、試行錯誤を繰り返そう。

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 以前の記事で、企画の土台部分にあたる

『テーマ』決めの重要性について語りました。


 今回は、テーマという土台の上に立つ企画三本柱のひとつ

『コンセプト』について語っていきたいと思います。




 ■『コンセプト』とはなんぞ?


『コンセプト』を辞書で調べると、

「企画における新しい発想の源。作品を支える主題』

 と出ます。


『テーマ』と似ていますが、

『テーマ』と『コンセプト』は別物です。



『テーマ』は、企画を立てる際の大前提。訴えたいこと。魂の叫びです。

『コンセプト』は、提示されたテーマを訴えるための手段、工夫のこと。


 企画の中核となる『テーマ』を主張するための

 具体的な例を提示するもの、だと私は考えています。

 少々難しいですね。例を挙げて考えていきましょう。



 これから携わるゲームのテーマが『飛翔』だった場合……


「飛翔=空を飛ぶ=ド直球に航空自衛官ものにする」

「飛翔を精神的成長と捉え、ドン亀ヒロインが作中で出世する」

「空なので、コンセプトカラーは青。ヒロインの髪の色にしよう」


 など、『テーマ:飛翔』をベースに

「どのようなアプローチを行えば飛翔を表現できるか?」

 と発想の翼を広げていくことができます。(飛翔とかけています)


 この時思い浮かべた

 様々な『アプローチ=切り口』をまとめたものが

『コンセプト』の正体です。




 ■コンセプトとは、テーマを表現するための具体案


『テーマ』は目に見えず、ほのかに漂う「匂い」です。

『コンセプト』は、「匂い」を目に見えるカタチに置き換えたものです。


 年に一度開催されるモーターショーでは、

 各自動車会社から「コンセプトカー」というものが発表されます。


 これは自動車メーカーが持つ技術やデザインの方向性を

 外部に発信するために作れたモデルカーで、一般販売はされません。


「今年のテーマは未来。今後は流線型のフォルムの車を出していくよ」

 という感じで、コンセプトカーという具体例で

『未来』という抽象的なテーマを表現しているわけですね。




 ■売り方やターゲットによってコンセプトも変わる


 例えば、

 とある企画展のテーマとして『腐ったバナナ』が提示されたとします。


 クリエイターは腐ったバナナを表現するため、

 そのものズバリ腐ったバナナを展示したり、抽象画を展示したり、

 匂いボックスを設置したり、講談師が匂いについて語る

 など、あらゆる『アプローチ=切り口』を考えるでしょう。


 実際にどのアプローチを仕掛けるかは、

 見せたい客層によって異なります。


「絵画」なら美術を好む層に、

「匂いボックス」なら体験型のアトラクションとしてお子様向けに。

「講談師」ならご年配の方が聞きに来てくれそうですね。


 絵画を採用したとしても、有名絵師に新しく書いてもらう、

 既存の絵を集める、小学校で絵画コンクールを開くなど、

 アプローチの仕方で企画展の内容も変わってきます。



 あなたがこれから立てる企画は、

「誰に」「何を」「どう」伝えるのでしょうか?


 私たちがこれから作るのはノベルゲームなので、

 腐ったバナナをいかにおもしろく『読み物』として表現するか。

 そこに重点を置いて考えていく必要があるようです。




 ■『コンセプト』は、企画のおもしろさに直結する


 ノベルゲームの企画を決める際に重要となるのが『コンセプト』決めです。

 作品の中心となる「ネタ」であり、企画のおもしろさ、

 ゲームの売り上げにも直結すると、私は考えています。


「学園で恋愛をさせて、失われた青春をユーザーに思い出させる」

 という恋愛ゲームによくあるテーマを軸に考えた場合、


「ファンタジーな世界観で、魔法学校の劣等生の話にしよう」

「近未来のとある惑星で、ロボ子と青春を送るディストピアもの」

 など『アプローチ=切り口』や『ネタ』のさじ加減ひとつで、

 いくらでも話は変わっていきます。


 ファンタジー好きな人なら『魔法学校の劣等生』に興味が湧くでしょう。

 SF好きな人は、『ロボ子トピア』に惹かれるかもしれません。


 ですが、ファンタジーもSFも好みではない人にとっては、

 両方とも心に響きません。「普通の学園モノでいいよ」となります。


 どのアプローチが心に響くかは人によって千差万別。正解はありません。

 こればかりは、企画者の感と勘、観にも頼る必要があります。




 ■自分が面白いと思ったものは面白い


 個人的な意見になりますが、

 自分で読んでいて「おもしろそう」と思えるなら、

 そのまま企画を進めていいと思います。


 自分の感性を信じて、自分と同じ『おもしろさ』を共有できる

 相手(ユーザー)向けに作品を作った方が、

 実際におもしろい作品が出来上がります(と、私は信じています)。


 逆に「自信がないな」「おもしろくないな」と思ったら

 素直に企画を練り直しましょう。作ってる途中で挫折します。

 プロジェクトが動いたら根幹部分は直せなくなるので、

 軌道修正するなら今しかありません。




 ■まとめ


 コンセプトとは、テーマを表現するためのアプローチ=切り口。

 コンセプトの内容によって、企画のおもしろさは変わる。

 様々なアプローチの仕方があるので、試行錯誤を繰り返そう。




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