■企画書を書こう

第10話 企画会議、ブレインストーミングとはなんぞ?

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『ブレインストーミング』

 忌憚のない意見を言い合う集団発想法。


『コアメンバー会議』

 各リーダーが集まり、具体的な企画内容を話し合う。

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 前回までは、

 企画を立てる際に把握すべき前提条件についてまとめてきました。

 今回から、実際に企画書の内容を詰めていきたいと思います。


 まずは、ノベルゲーム制作の現場で行われる企画会議の流れを

 順を追ってみていきましょう。




 ■企画会議その1:ブレインストーミング


 ブレインストーミングとは、アレックス・F・オズボーンによって

 考案された会議形式のひとつです。集団発想法とも言います。


 関係者が会議室や居酒屋などに集まり、

 忌憚のない意見を出し合って、面白いネタを拾い上げていきます。


 ブレストには


 1.結論を出さない。

 2.考えを否定しない。

 3.質より量を優先する。

 4.アイデアをまとめたり、広げたりする。


 といった四大原則があります。


 大事なのは発想のタネです。


 ブレスト段階では他の人の意見を否定、批判しないようにしましょう。

 自由な発想で、さまざまなアイデアを出してもらうのが目的なため、

 馬鹿げた意見、実現不可能なネタでも、すべて議事録に記録します。


 人に『ネタ』を話すことで考えもまとまり、

 他人に意見をもらうことで、新しい角度から物事を捉えることができます。




 ■ゲーム制作現場におけるブレインストーミング


 ノベルゲーム制作の現場では、

 ゲームのジャンル、キャラの造形や、ストーリー展開だけでなく、

 初回特典、宣伝方法、着せたいスク水の種類など、

 あらゆる項目について、さまざまな意見を飛ばし合います。


 白紙状態から企画を練るのに有効な他、

 煮詰まった企画を「洗い直す」のにも効果的ですよ。




 ■企画会議その2:コアメンバー会議


 コア(中核)メンバーとは、

 プロジェクトチームにおける作業責任者、リーダーのことです。


 プロデューサー、ディレクター、

 メインライター、メイン原画などが集まり、

 ブレストで出された意見、提出された企画書の内容を吟味します。


 プロデューサーは、クライアント(様)の要求をメンバーに伝え、

 営業&広報戦略、予算、売り上げを考慮に入れつつ、企画全体を見ます。


 ディレクターは、グラフィックチームなど各部署の作業状況、

 全体スケジュールなどを考慮に入れつつ、企画が実現可能か考えます。


 メインライター(企画兼任)は、

 作品で主張したいことをアピールしつつ、企画の骨子を整えます。

(企画者がディレクターやプロデューサーの場合もあります)


 社内にメインイラストレーター(原画家)がいる場合は、

 描きたいキャラクター、コスチューム、世界観を企画会議で主張します。


 ※ 外注原画家、外注シナリオライターの場合、

  企画書が完成した段階で仕事を依頼されることが多いです。

 ※ コアメンバーは現場により異なります。

  取締役、営業、広報、各部署のDやPが参加することもあるでしょう。




 ■現実とも向き合う、コアメンバー会議


 ブレインストーミングと違い、コアメンバー会議では

 金銭面やスケジュール面での現実的な話もしなくてはなりません。


 ブレストで出された意見の取捨選択を行うのも、

 コアメンバー会議の大事な作業です。


 天地がひっくり返らないと実現不可能なアイデアは、

 この段階で切り捨てます。


 例えば、

「50億かけてハリウッド映画のようなエロゲーを作りたい」と

 主張しても当然却下されます。


 逆におもしろそうなアイデア、

 絶対に外せないコンセプトについては

 どうにかして実現ができないか、無い知恵を絞って考えます。


 もしも企画のコンセプトが『ハリウッド映画’風味’のエロゲー』なら、

「映画のような演出を行う」「洋画パロを行う」など

 実現可能な方向に企画を落とし込んでいきます。


 妥協点と譲れない部分の選別で迷ったら、

「テーマ(趣旨)を訴えるのに最適な手段であるか否か」で

 判断するといいでしょう。




 ■企画会議における『企画』のお仕事とは?


 コアメンバー会議を主導していくのは、企画を立てた『あなた』です。

 企画者が「こういった作品を作りたいんです!」と熱く主張し、

 それを実現するための予算、スケジュール、アイデアをひねり出すのが

 コアメンバー会議です。


 企画者に『創りたい欲』がなくて、なんとなーくで始めると

 目指すべきゴール(到達点)がわからず、会議は難航します。


 例えば「スク水を企画のコアにしたい!」と主張すれば、

「スク水だから学園もので……」と、ネタ出しの方向性が定まります。


 もちろん、わがままばかりを通すわけにはいきません。

 現実的な予算、スケジュールなどを考慮しつつ、

 企画の方向性と規模を煮詰めていきます。


 企画会議は一度では終わりません。

 リーダー同士で何度も意見を戦わせて、

 自分たちが「おもしろい!」と心から思える企画を立てましょう。




 ■『企画』に込める想い


 企画を立てる際に大事なのは、

 創る側の人間=あなたも楽しむこと。


 クリエイターが楽しんで創っている作品は、

 キャラの造形、話の広がり、宣伝文句などに現れます。

 いわゆる「雰囲気がよさそう」「楽しそう」な作品ですね。

 実際、そういった作品は売り上げも好調です。


 ゲームに限らず、あらゆる創作物は

 それを創った人間の内面を『カタチ』にしたものなので、

 中の人の感情がダイレクトに相手(ユーザー)へ伝わります。


 オカルトじみた話ではありますが、

 15年以上ゲーム作りに携わってきた私は真実だと思っています。




 ■まとめ


 ブレインストーミングで、忌憚のない意見を出し合おう。

 コアメンバー会議で、具体的な企画内容を話し合おう。


 企画会議は、企画屋であるアナタが主役です。

 作りたいゲームのため、しっかりとした意見を出しましょう。






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 宣伝コーナー

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