第7話 予算が企画内容を左右する。これって現実なのよね

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 ・『予算』……開発資金。すべての指針。これがないと何も始まらない。

 ・商業では、クライアントからお金を前借りして制作を行う。

 ・同人では、自分で開発資金を出す。自由に作れるのがメリット。

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 テーマ決めが終わった! さっそく企画を練ってみよう!


 いいえ。ちょっと待ってください。

 その前に確認すべきことが二つあります。


 それが『』と『』です。


『スケジュール』に関しては、ゲーム制作の流れの記事で触れたので

 その重要性がわかるかと思います。

 構想10年、制作期間30年の超大作を作りたいとか言い出したら

 そのプロジェクトは破綻します。


 ここでは企画を立てる際の、もうひとつの最重要確認事項

『予算』について触れていきます。




 ■『予算』とは?


『予算』とは、開発に必要となる資金を見積もること。


 資金や元手がないと、人件費を払えないので

 企画を走らせることができません。世の中、マネーです。


 ある程度の開発資金がないと、思い描いていた完成形に到達できず、

 絶望して筆を折る……といった悲しい結末を迎えることも。




 ■ゲーム制作における『予算管理』について


 ゲーム制作における予算管理とは、

 企画を走らせるのに必要な、『開発資金』を見積もることです。


 あなたがこれから企画するノベルゲームの規模は、

『予算=開発資金』によって、大きく変わります。


 あなた自身の人件費、外注スタッフへの依頼料、光熱費、

 パッケージの印刷代やDVDのプレス代もすべて

『開発資金』から捻出されます。


 極端な例ですが、開発資金が『1億円』あれば

 オープニングムービーをアニメーションにしたり、

 キャラボイスに有名声優さんを起用することもできます。やったぜ!


 逆に、開発資金が『10万円』しかない場合は、

 ボイス収録を諦めなくてはなりません。

 背景も、フリー素材から用意しなくてはなりませんね。とほほ。


 


 ■商業作品と『予算』の関係


 携わっている企画を商業ライン(一般流通)に商品を下ろす際は、

 クライアント(様)が開発資金を提供してくれます。


 無条件で恵んでくれるわけではありません。資金の前借りです。

 ゲームの売り上げから手数料を上乗せして、返済にあてます。


 開発側が企画を持ち込んで、

「これくらいの規模になるから○○万頂戴!」とおねだりするパターンと、


 クライアント(様)から

「○○万貸すから、これくらいの規模のゲームを作れ!」と

 依頼(開発受注)を受けるパターンがあります。


 どちらのパターンになるかは、

 クライアント(様)との関係性や、会社の運営方針によるでしょう。


 一般的なのは流通会社が制作会社(開発室)に出資するパターン。


 他にも大企業の一部署としてゲーム開発室が存在していたり、

 とあるリッチマンが趣味で出資してくれたり(実際あるそうです)、

 社長のポケットマネーで会社を運営しているところもあります。




 ■商業作品のメリットとデメリット。


 クライアント(様)に開発資金を援助してもらうメリットは

(借金ではあるものの)クライアント(様)がお金を出してくれるので、『元手』を集める必要がないこと。

 市場(=ショップ)に商品を卸すので、広い層へ商品を届けられること。


 デメリットは、借金なので手元にお金があまり残らないこと。

 途中で開発資金がショートすると赤字になること。(当然の話ですけど)


 デメリットにすべきかは迷いますが、

 企画の内容も、クライアント(様)の意向に従わないといけません。

『ノベルゲームという流通商品』の制作を依頼として引き受けるので、

 当然と言えば当然の話です。


 商品=市場価値がある『売れる』作品を求められるので、

 好きなモノ(需要がニッチもの)を作らせてくれる会社は稀です。


 開発陣が好きなジャンルで、なおかつ売れそうな気配があり、

 クライアントも乗り気という企画があれば、みんなハッピーになれます。




 ■同人作品と『予算』の関係


 あなたが企画しているゲームが『同人作品』だった場合は、

 あなた自身、もしくはサークルのポケットマネーが開発資金になります。

 当然ですが、元手がなければ企画はスタートできません。


 同人でも「企画を作ってから予算を決める」場合と、

「予算から企画の規模を考える」場合があります。


 実現可能なラインで1本作品を作り、

 その売り上げから次に繋げるのも戦略です。

「どうしてもこの企画を作りたい! 規模も変えたくない!」

 という情熱があるなら、何とかして開発資金を確保しましょう。




 ■同人作品のメリットとデメリット


 同人作品には

「自分が出資者なので、好き勝手に作品を創れる」

 という大きなメリットがあります。


「スク水獣耳性転換モノ」というニッチなネタでも、

 止める人はいないので、出そうと思えば出せるわけです。


 今ならクラウドファンディングも利用できるので、

 挑戦してみるのもいいでしょう。

 ニッチなネタでも、世界に目を向ければファンはいるので、

 試してみる価値はありますぜ!



 デメリットは当然、ポケットマネーから資金を出しているので

 作品を世に出すまで赤字が続くこと。

 出したとしても売れなければ、元手は戻ってきません。

 開発失敗のすべての責任は、あなたの肩に重くのしかかります。


 いきなり大博打を打つのではなく、小規模のゲームを作ってから

 手応え(ノウハウ)と実績、ファンと資金を増やすといいかもですね。


 最初はフリーゲーム(無料ダウンロードゲーム)作りから初めて、

 経験値を積んでから同人イベントに参加するのもいいでしょう。


 私もフリーゲームで2本、同人で1本ゲームを作ってから

 会社(商業)のドアを叩きました。

 現実的な話、業界も厳しいので経験者でないと雇ってくれないでしょう。




 ■まとめ


 ゲーム制作における『予算』とは、開発資金のこと。

 これがないと何も始まらない。


 商業では、クライアントからお金を前借りして制作を行う。

 同人では、自分で開発資金を出す。自由に作れるのがメリット。


『予算』は企画を立てる際に、最初に確認すべき項目。

 絵に描いた餅にならないよう、地に足のついた企画を練りましょう。





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