第9話〜第12話

第9話 Teacher Don't Teach Me Nonsense

https://kakuyomu.jp/works/1177354054881416606/episodes/1177354054881453067


 ナイジェリア出身のサックス奏者でもあるフェラ・クティ(Fela Kuti)の同名の曲から。

 フェラ・クティはロンドンのトリニティ音楽大学に学び、ジャズをやっていた人だったらしいですが、ジェイムス・ブラウン(James Brown)のファンクと出会い衝撃を受けます。

 複雑なコード理論が特徴のジャズを学んできた人が、片やワンコードみたいなJBのファンクに出会ったらそりゃその衝撃たるやものすごいでしょうね。


 その後やはり人種差別を経験したことをきっかけに、黒人解放運動、ブラックパンサー党やマルコムXに傾倒していきます。

 そんな背景の下、彼はアフリカ音楽への回帰的な主張なのか、アフロビートというサウンドを打ち出します。

 この楽曲も非常にアフリカン・フレイバーに溢れたサウンドですね。そこに合わさるブラスセクションとアフリカンなコーラスとの掛け合わせが気持ちいいこと。

 これ、フランスのバークレー・レコードから出てるんですよね。なんか意外な気もしますけど、両親がアフリカからの移民というルーツを持つウォリー・バダロウ(Wally Badarou)プロデュースという関係からでしょうか。


 長くなってしまいました。

 タイトルは『くだらないことばっか教えないでよ先生』くらいの意味になるでしょうか。

 物語本編では、主人公がついに女子高生として入学し、担任教師と初対面という場面。

 そこにお調子者の生徒がくだらない質問をする場面。なので、どちらかというと、『くだらないこと質問しないでよ』と先生の方が言いたくなるような場面ですね。


Fela Kuti - Teacher Don’t Teach Me Nonsence (1986)

Written by Fela Anikulapo Kuti

参考URL:https://www.youtube.com/watch?v=yJ1hx88nz9M


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第10話 Bésame Mucho

https://kakuyomu.jp/works/1177354054881416606/episodes/1177354054881481416


 言わずとしれた有名曲ですね。

 日本ではムード歌謡として認知されているかもしれませんが、かのビートルズ(The Beatles)もカバーしている名曲です。 最も多くカバーされたスペイン語の曲と言われているそうですよ。


 わたしが執筆時にイメージしていたのは、アントニオ・カルロス・ジョビン( Antônio Carlos Jobim)と並ぶボサノバの創始者ジョアン・ジルベルト(João Gilberto)によるカバー・バージョンでした。

 ジョアン・ジルベルトと言えばギターの名手なんですが、それと並びあの独特のいなたいボーカルの魅力と言ったらなんとも筆舌に尽くしがたいものがあります。大好き。


 そして恐らくアレンジはクラウス・オガーマン(Claus Ogermann)だったんじゃないかと記憶していますが、この美しいストリングス・ラインがまたさすが。


 いっぱいチューしてよというなんとも甘いタイトルを冠していますが、主人公と従姉妹がチューする写真を撮られるという本編のエピソードにちなんでいます。

 主人公本人は、従姉妹同士でチューすること自体はそれほどの抵抗感は感じていないのですが、家族や周囲の反応には抵抗を感じざるを得ないのです。タイトルは、完全に周囲の反応の方ですね。


João Gilberto - Bésame Mucho (1974)

Written by Consuelo Velázquez

参考URL:https://www.youtube.com/watch?v=GICw4CoJInA


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第11話 Girl

https://kakuyomu.jp/works/1177354054881416606/episodes/1177354054881485605


 言わずと知れたビートルズ(The Beatles)の同名の曲から。

 まだ見ぬ運命の女性について歌ったとジョン・レノン(John Lennon)は語っていますね。後のオノ・ヨーコさんのことだそうです。


 この曲の解説にはギリシャ音楽の影響が云々といった文言がつきものなのですが、この楽曲でのジョージ・ハリスン(George Harrison)のギターの音作りがギリシャのブズーキという楽器の音色と似ていることも一役買っているようです。

 彼はカポを付けてそんな音色を作ったそうです。

 曲のアレンジ自体も、言われてみればギリシャ音楽っぽさをまとっている気もします。この曲自体はギリシャ音楽のような陽気さはないですが。


 探してたら参考曲としてこんなの(https://www.youtube.com/watch?v=e_WEjAnslGc&t=80s)を紹介してる人がいました。ふむふむ。


 あとこの曲でしばしば語られるのが、コーラス部分の『Tit - Tit - Tit - Tit』という文言。

 おふざけもいいところですが、『乳首 - 乳首 - 乳首 - 乳首』と歌ってます笑笑。

 どんだけおっぱい好きなのよ、ちょっと男子ぃ。てな感じですね汗。

 

 本編は、着々と女子化が進む(周囲の状況がそのように進んでいく)主人公の焦燥と、これからどんな女の子になっていくのだろうまだ見ぬ主人公への周囲(ま、読者や筆者)の期待を込めたサブタイトルとしてこのチョイスとなりました。


The Beatles - Girl (1965)

Written by Lennon-McCartney

参考URL:https://www.youtube.com/watch?v=OPCPurQ0aoI


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第12話 さくらんぼの實る頃(Le Temps Des Cerises)

https://kakuyomu.jp/works/1177354054881416606/episodes/1177354054881485613


 きっと読者の多くの方には、紅の豚の序盤、酒場のシーンでジーナ役の加藤登紀子さんが歌っていたといったら、「あ、あれね」となるかもしれません。

 それこそ加藤登紀子盤があるように、シャンソンのスタンダードなのでいろんなカバーが存在するのですが、わたしがイメージしていたのは、コラ・ヴォケール(Cora Vaucaire)盤。

 情緒に耽溺するカバーが多い中、そこまでじゃなくでも淡々とというわけでもなく、なんとも丁度いい感のある絶妙なラインで紡がれていると感じます。

 そしてこの時代の録音独特ののどかに流れる空気がまた良い味わい。ということでこのバージョンをチョイスしました。


 本編では、校内のメディア部(新聞部みたいなもの)が発行しているフリーペーパー『Ceriseスリーズ』に第10話で撮影された写真が掲載されたりなんかしてちょっとした騒ぎになります。

 この『Ceriseスリーズ』はフランス語のさくらんぼという意味なのですが、そもそも主人公が通う学校は桜桃学園といいまして、さくらんぼを意味する名前を冠しているというわけなのです。


 ま、実際にさくらんぼの旬というのは5月からだそうで、ここはわたしの認識不足でしたが、何となく春をイメージしておりましたので入学シーズンということもあり、このタイトルとしたのでした。

 でも考えてみれば実がなるのは当然花が落ちた後ですもんね。不覚でした。


Cora Vaucaire - Le Temps Des Cerises (1955)

Written by Antoine Renard

参考URL:https://www.youtube.com/watch?v=zrzoL4xTJFE

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