彩雲華胥 〜起承編〜

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（357文字）

未だ霊妙の絶えない遥かな世、假面で貌を蔽った少年が、数奇な運命に操られ、宿命に手繰り寄せられ、険峻な途を征く。災禍を齎らす魍魎は未だ滅び去らず、異能の力を備えた術士も亦、任重くして、立ち止まること許されず。

物語の舞台は遥か昔のオリエントを偲ばせつつ、現代人の身近にある並行世界の如し。登場人物の揺れ動く心は、遠い彼の地とは無縁の親近感を抱かせるもので、感情移入も軽やかに読者を魅了、魅惑する――その點は、本作の特筆すべき処、語り部の見事な手綱捌きと申せましょう。

白眉は、主たる無明と白笶の織り成す奇縁と絆。假面の下に隠された白皙が思いも寄らぬ真実を明かし、新たな物語を朗々と唱い上げる。

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このお話の他の方のレビューを見ていただいた方は、この物語がどれだけ洗礼された美しい表現で描かれているかわかることかと思います。

ですので、私は物語のネタバレがない読書感想文を書きます(^^♪

　✿

紅鏡。金虎の一族に、痴れ者の第四公子という、不名誉な名の轟かせ方をしている、奇妙な仮面で顔を覆った少年がいた。
――名を無明。



これは、作者さまが作品のご紹介に書かれた一文です。

そうなのです。
痴れ者の第四公子、物語はこの痴れ者無明から始まったのでした。

母に対しての事件に伴い、代わりに舞う痴れ者。
私はその舞の描写に心奪われ……気が付けば、最後涙でびっしょりになって最終話を迎え…続きを読む

中華ファンタジーとか、美しいとかそういうありきたりな言葉で表現することを躊躇われるような独特の感性と文体に引き込まれてしまう。

魅力的な登場人物と彼らが織りなす珠玉の物語をあなたもきっと気に入るはず。

　この物語の主となる無明。高い霊力を封印するよう仮面をつけ冷遇される日々。しかし、やがて運命の歯車を動かす出会いがあります。
　幸せでもあったそのひと時の先には、歯車により開かれた運命により悲しくも儚い事件が待っていました。
　
　再び幸せを感じた時間は取り戻すことが出来るのでしょうか。

　その第一部の物語です。

　強く、美しく、そして愛するという世界観。中華ファンタジーとして十分楽しめますが、柚月ワールド独特の世界観を是非お楽しみください。
　

とにかく綺麗な物語です。
そして、無明が可愛くて仕方ありませんでした。
描写の言葉も色の表現も美しく、見に纏っている衣の模様などがとても気に入っています！
また、旅の続きを覗きにいきます。

表題通りの緻密なストーリーと、映像を感じられるような文章が魅了的な作品です。
中華ファンタジーですが、読みやすい文体でもあり、あまり馴染みのない方でもスッと入っていけると思います。
BL要素も控え目？なので、どなたにもお勧めできます。

本作は中華風の異世界を舞台として、跋扈する魑魅魍魎を祓う術士の少年たちの物語です。

国を守護する五つの氏族の第四子として生まれた主人公は、痴れ者として仮面を付けることを余儀なくされていました。
夫人たちの確執から不遇な扱いを受ける彼でしたが、性格は明るく思いやりがあり、また優れた霊力を隠し持っています。
やがて、怪異との戦いの日々を過ごす中、ある運命を変える出会いが訪れようとしていたのでした。

アジアンファンタジーを感じさせる清涼感のある作品です。

何よりその美麗な文章を皆様にも読んでいただきたい作品です。
ルビ振りが丁寧でわかりやすく、文章やセリフも練りに練ったものであることがわかります。
キャラクターも本当に生きているかのように、想像できるくらい繊細な描写です。
中華ファンタジーの中でも、群を抜いている作品であることがわかります。
少しでも気になった方は、ぜひご一読いただきたい作品です。

二人の少年の出会いから、運命の歯車は動き出す——。

とにかく文章・描写が美しいのです。
まるで「見返り美人図」のよう。真正面からではなく、側面にある美しさを切り取ったような妖艶な世界観です。
少々なまめかしい描写もあります(第二章読了時点)が、決して「あからさま」ではないし、むしろ数ある情景の一部として描かれています。それがまた、余計に妖しく感じるのかもしれません。
胸の奥をちょっとくすぐられる感じ、たまりませんな。

魅惑たっぷりときどきスパイス、散りばめられた甘みにひたってみませんか？