概要
たとえ君の聲が世界中に聞こえていなくとも、俺にはちゃんと聞こえている。
「君の聲は俺にしか聞こえなくていい。君がたとえ俺以外の人間に、もっと多くの人に歌聲を聞かせたいと願ったとしても」
他人の声を拒絶し続けた。死んだ母の聲しか受け付けなかった。そうしてずっと、ヘッドホンを身に着けては母の聲を流し、周囲の声を拒んだ。
けど、無我夢中で何処か遠い所を目指していた時、聞こえるはずのない、受け入れるはずのない〈別の聲〉が聞こえた。
その聲の持ち主もまた、独りで、嘆きの歌をずっと奏でていた。誰にも聞こえない、聞いてもらえない悲哀の独唱を。
母以外の聲を拒絶した少年・奏斗(かなと)と、特殊な音波のせいで肉声すら人に届くことのない孤独で孤高の少女・音葉(おとは)――。独りぼっちだった少年少女が邂逅し、その出会いと共に小さな恋の歌聲が残酷な世界の片隅で響き始める。
他人の声を拒絶し続けた。死んだ母の聲しか受け付けなかった。そうしてずっと、ヘッドホンを身に着けては母の聲を流し、周囲の声を拒んだ。
けど、無我夢中で何処か遠い所を目指していた時、聞こえるはずのない、受け入れるはずのない〈別の聲〉が聞こえた。
その聲の持ち主もまた、独りで、嘆きの歌をずっと奏でていた。誰にも聞こえない、聞いてもらえない悲哀の独唱を。
母以外の聲を拒絶した少年・奏斗(かなと)と、特殊な音波のせいで肉声すら人に届くことのない孤独で孤高の少女・音葉(おとは)――。独りぼっちだった少年少女が邂逅し、その出会いと共に小さな恋の歌聲が残酷な世界の片隅で響き始める。