うぶのめがみさま

　心優しい少女と、「うぶ様」と呼ばれる勇ましく美しい女神様の物語です。

　うぶ様とは——お産からお七夜まで新生児とその母親を護るとされている産神のこと。この村では親しみを込めて「うぶ様」と呼ぶのだとか。

　お産で弱った赤子と母親を狙う妖魔の被害が相次ぐ村で、心優しき少女「てい」は覚悟を決めて、ひとり馬を走らせ山奥に棲むという産神を呼びにいく。
　そこに姿を現したのは、美しくも勇ましい女神様の姿。

　出産や人の死を「穢れ」と扱い、神域より避けるようにする風習が古来より世界にはありますが、それを尊び、時に怒り、護り抜く存在もまた神様という心温まるお話。

　人が人を産むのに、現代よりももっ…続きを読む

出産――覚えのある女性なら、それがどんなに大変な思いを味わうか、ただ無事に産まれてきてくれる瞬間がどんなに尊いか、想像に難くないでしょう。
その瞬間を狙う、許しがたい魔の存在。
母子を守るために戦ってくれる、勇ましき女神様。
出産に挑む母子のそばで、まさに生死を分ける壮絶なバトルが繰り広げられているのです。
大切なものの命を巡る、女神様と人間の女たちの熱き戦いに、ただただ引き込まれ、涙が滲んできます。
とても感動的な短編です。女性はもちろん、男性もぜひご一読ください。