子供達は諦めない

息もつかせぬ展開、SF色の強い題材、実は感情豊かな主人公と多くの魅力を持つ作品です。
読み応えのある作品を求める方に、幅広くおすすめできます。

特に惹き付けられるのが「子供」である主人公達と対置された「大人」の関係。
そして応援したくなる主人公です。

人が死ぬのが大嫌いで、ひたむきに目の前の人と、その心を守り抜こうとする主人公。
対する大人達は、心ある現実主義者、厳格で公正な支配者、理想的な資本主義者と、少なからず共感できる(してしまう)キャラクターばかり。
けれども、大人達は皆なにかを諦めて「仕方ないんだ」と自他に言い聞かせているようにも見えます。

彼らが魅力的だからこそ、「諦めるな」と励まし、尻を蹴飛ばす主人公の輝きがさらに強まっているのだと思います。

めでたしめでたし、で終わって欲しい。
心からそう思える作品です。