世界渡りの悪魔

本作は異世界というより多世界ファンタジー
主人公は(やたら面倒見がいい)悪魔として、多くの世界と召喚主のもとを渡り歩きます。
一章ごとに明確な区切りがあり、短編・中編集的な面もあります。

まず惹かれたのがファンタジックな世界描写。
「七つの月の世界」というワード一つでも刺さる人は多いのではないでしょうか。

物語の中心になるのは出会いと別れです。
召喚と帰還を繰り返す主人公は、そのたびに出会いと別れを経験します。
主人公が不死の悪魔ということもあり、召喚主との関係は一期一会。
異世界ものは関係を積み重ね、人脈が増えていくものが多い中、別れに着目した本作は新鮮でした。

その割に読後感に暗さはなく、穏やかに感じます。
いい意味で物語に引きずり込まれないというか、読者が主人公の話を聞いているような印象です。

過去の世界が「思い出」に感じてしまう。
読みやすく後味のいい作品です。

その他のおすすめレビュー

@hokuto99さんの他のおすすめレビュー18