直球勝負の王道作品 

第一印象は、Web小説を見ていれば必ず知っている素材で構成された作品。
しかし本作で「よくある」のは素材だけ。
続きが見たい。もっと読みたい。
素直にそう言える作品です。

本作最大の魅力はキャラクターが見せる鮮やかな感情です。
ワガママだけど優しい、だけなら「テンプレ」で終わってしまうヒロインの性格。
しかしその性格と、それが内包する感情を態度・台詞で表現することによって、本作品でしか見ることのできない、ただ一人の存在へと昇華されています。
おかげでいっぺんにヒロインが好きになってしまいました。

日常・コメディ・シリアスと展開の振り幅が大きく、楽しい時はとても楽しく、辛い時は息苦しいほどに辛い。
いわゆるストレスフリーな作品ではありません。
心を揺さぶるという表現がぴったりです。

既に長文なので、この先は箇条書きにて。
文章がリズムよく、文字数の割に読みやすい。
ページの最後に必ずと言って良いほど「引き」が仕込んである。
クライマックスは鋭く、冗長さとは無縁。
ステータスに作劇上の意味がある。
倒叙形式で、辛い場面でも希望が持てる。
作品全体から、骨太というか、構成力の高さや作者さんの配慮を感じます。

現代エンタメ小説の王道作品。
続きを楽しみにしています。

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