概要
死にたがりの僕は、昔で過去に寄り添い、死にたがりの貴方は現代の僕を救う。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!昭和初期の文豪たちの世界へタイムトラベル!!
面白いです!
主人公は男装設定。
太宰治や中原中也などの文豪が出てきます。
今まで個人的に太宰治ってあまり人として良いイメージがありませんでした。
熱海で豪遊しすぎて借金のかたに友達の檀一雄を旅館に置き去りにしたり(このとき生まれたのが『走れメロス』だけれど、太宰は友人を助けずバックレてる)、駆け落ち婚で実家と縁をきられて以降は薬物中毒で口説いた女性を三度自殺に誘い(一回目女性だけ死亡で誘った太宰は元気、二回目妻と自殺未遂で二人ともセーフ、三回目は別の女性と死亡するも、口説いて共に自殺した女性ではなく妻に愛していると置き手紙)、ナルシストで本気で死ぬつもりはなく、死ぬくらい自分のことを好きで…続きを読む - ★★★ Excellent!!!徹底して作り込まれた世界観、染みる人の業。只の時間遡及ものと侮るなかれ
平成(令和でなく)から昭和、それも太宰治や中原中也といった名だたる文豪が登場する昭和初期へのタイムスリップ・ストーリー……なの、です、が、そう一言で纏めてしまうと、非常に軽薄で書き手に申し訳ない気がするのはなぜでしょうか。
なので、このレビューを書くに当たってこの作品の何に惹かれるのか考えていたのですが……私の個人的な感想となりますが、特に第三部になって深まる、各登場人物が共鳴することで醸し出す「人の業の重さ」「人生の皮肉」にあるのかなと。
そして、そこに至るまでの、主人公や文豪、その他の登場人物の肉付けの厚みは、そのまま物語の厚みに繋がっていて、ただのタイムスリップものにはない説得力と、凄…続きを読む - ★★★ Excellent!!!強制的に日常から非日常へ。果たしてその目的とは?
【物語は】
恐らく平成生まれの主人公が平成ではない場所におり、”働かせてくれ”とある店主に懇願しているところから始まる。しかも、お金の必要な理由は自分の為ではない。一体何があってこんな事態に陥っているのだろか?
【登場人物・物語の魅力】
本編に入ると、どうやら主人公は怒っているようだ。行き場のない怒りというのが適切なのだろうか。せっかくスケジュールの調整をし、遥々友人に会いに来たのにドタキャンされてしまい、相手にも自分にも怒りが収まらないといった印象。しかし、どうすることもできない。
これは偏ったイメージであるが、若いうちは恋人を優先し、結婚してしばらく経つと友人を優先する。人にもよるだろ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!紙の匂いがする文章、人間の層の厚みの魅力
少しレトロな言い回しがあったり、登場人物の方言の口調の書き方が、昨今は随分と見かけなくなったタイプで、小学校の図書館にあった分厚い文学集の中の一作品のよう。それが完全にイマドキ向きな現代口語訳をされたような読みやすさがありつつも、昔の文学の空気感が残っているため、ブラウザで読んでるのに紙の匂いを感じるという。だからといって、古臭いという訳ではないです。昔の文学の情緒的な良さと、今時の読みやすさの融合というか。
それが、平成から昭和にタイムスリップしたというストーリー、文豪との絡みにすごく合っています。
そして登場人物たちなのですが。
一癖ある、なんてものじゃないという。何癖あるの!…続きを読む