概要
200年もの間、自国を「魔法」で守護してきた魔女メイルゥ。
しかしながら世はすでに「剣と魔法」の時代が終焉を迎えており、産業革命がおこっていた。
他国との平和条約のために引退をしたメイルゥは、市井にくだってのんびりとした老後を過ごすつもりであった。
▼続編書いてます【精霊物語りⅡ】
https://kakuyomu.jp/works/1177354054895490464
もし「剣と魔法」のファンタジー世界に産業革命が起こったら。
そんな発想からこの物語は生まれました。
ルツと呼ばれる魔力の源のバランスが崩れて、この世界ではもうまともな「魔法使い」はおりません。
それは主人公メイルゥとておなじこと。
不老不死とされる彼女ですが、ルツの濃度によって肉
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!剣と魔法の失われたファンタジーの世界で……
剣と魔法の世界はすでに崩壊した。蒸気機関、活版印刷、銃器、そしてメートル法。
かつて救国の英雄といわれた魔女のメイルゥも、いまや半分ボケたお婆ちゃん。だが、齢200歳といわれる彼女は、精霊石の力により不老不死を手に入れているとか、いないとか。
戦争が終わり、街には科学と産業革命の足音が響いているが、まだまだ暴力と悪意は消えていない。そんな世界で、時間に取り残されたように生きる異物ともいえる魔女メイルゥ。本物の魔法使いと噂される彼女と、街で出会う、やはり彼女のように時代に馴染めない者たちとの出会いの物語。それは古い時代への憧憬なのか、それとも新しい時代への警鐘なのか。
やがて変わろうと…続きを読む - ★★★ Excellent!!!時代の観測者、世の趨勢を見届ける。
魔法を扱うことで長きにわたり国を守護してきた魔女メイルゥは、国民から救国の英雄として崇められ、慕われている。しかし世界は剣と魔法の時代から産業化の時代へと移行し、魔法を使う力ともいえるルツや精霊石は人々の暮らしを支える燃料となった。すっかり隠居したメイルゥは田舎街で第二の人生を歩もうとしていたが、ほっとけない姐御肌の性分から出会った人々を見守り、世話していく。
魔法を扱える存在はもうほとんど残っていない代わりに、人々は産業化で豊かになった。戦争のない時代を生み出したメイルゥに国民は感謝を述べます。さぞかし魔女メイルゥは万能で強いおばあちゃんかと思ったのですが、読んでいくとこれはそういっ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!近代化の光と影を丁寧に描いた、大人のためのファンタジー
200年もの長い間「救国の魔道士」として活躍をしてきたメイルゥが、任を解かれて新天地で生きていく、その道程の物語。
メイルゥと、新天地に向かう列車の中で出会った青年フレッドとの恋模様に着目する読み方もありますが、私が特に注目したのは、この作品に込められたある種の皮肉……風刺のような部分でした。
ネタバレ回避のためどういう部分かというのは伏せますが、M.エンデの『モモ』が好きな人には特に感じるものがある作品です。
もちろん『モモ』みたいに長い作品、読んでられないよ!っていう方にもお勧め。
「時代と戦う」
この意味がずしんと心に響く名作です。 - ★★★ Excellent!!!時代の変わり目、二百年の防国の任を解かれた一人の魔女が居た。
魔女、精霊石、蒸気機関車、狼男に黒い猫。
ファンタジーとしてオーソドックスな内容を含ませつつ、揺蕩う時代の移り変わりをしっとりと書き上げた挑戦的なノストラジックロマンファンタジー。
全体的にゆったりと流れていく物語の中で、時折スパイスとして非情なダークマターを生地に混ぜ込んでくる真野てんさんのやや焦げた手作りクッキーと言ったところでしょうか。(←何を言っている?)
二百年という時の中、魔女のメィルゥは彼方の時の中で交わした人々の約束や思いを継ぎ、時代を次へと引き渡した。自由の身になった彼女は自分が何を守り続け、そして何が変わっていくのかを見届ける為に世界を巡る。
その先で彼女が出した…続きを読む - ★★★ Excellent!!!何人であれ、時代という大きな力には成す術がない。
真野てん渾身のハイファンタジー。
文明の原動力が胡散臭い魔法から計算と技術である科学に移り変わる時代。それに飲み込まれようとし、また抗おうとする人々の姿を悠久の時を生きる魔女メイルゥの視点から語るというスタイル。
敵は時代とあるが、時代と戦っているのは同時代の人々、イコールメイルゥ以外の人物全員。その姿は現代に生きる我々の姿と重ねることが出来る。だから異世界ものなのに妙に親近感が登場人物たちにわくであろう。
派手な戦闘シーンとかもあるが、この物語の一番の売りはやはり時代に翻弄される人々の群像であろう。読者よ、身構えて読むべし。さもなくば中盤、作者に殺意が沸くであろう(なぞ)。