【短編】テストと僕と君のシャーペン

丁寧に視点を変えて綴られる風景。拙くて、いびつで、かわいくて、なんだか切なくて。
ほのぼのするなぁっと読み進めてきて、しかしまさかの展開が……！

面白い構成だなぁと感心しました。こんなふうに自由に創作できる短編の奥深さに気づかされました。

　とてもさらさらと読めて、主人公の心の叫びが面白かったです。
　テストでこんな失敗を……というところから始まり、こんな失敗を……と笑ってしまう。
　だけど、最後は切なくて。でも主人公のおかげで重くはない。

筆箱を忘れるという出来事から生まれた、小さく温かな出会い。
でも、その結末は……と、なんだか少し感傷的になった中篇です。
青春は時として、ほろ苦い。

テストの日。筆記用具を忘れてしまった男の子が、シャーペンを借りたところから始まる、コミュ障ラブストーリー。

短編小説なので、１０分くらいで読み終わります。

コミュ障の男の子の気持ち、感情移入できる人も多いと思います。声をかけるのって、勇気がいりますからね。

テストに一番重要な筆記用具類を忘れてしまったドジっ子菱田くん。彼の慌てん坊な部分や天然さんな所はコミカルなギャグテイストでテンポよく描かれています。給食の汁物から立ち上る湯気くんがまさかの男前すぎて（笑）その他いくつかの下りでじわっときて声を上げて笑いました。
しかしながら最終話......衝撃すぎました。もう数話エピソードがあっても楽しいなと読了直後は感じたのですが、改めて考えるとこれはこの長さに纏めたからこそ斬新なストーリー展開に仕上がっているのだと思いました。ラストのインパクトが強い作品です。
ギャグの部分には普段の作者様のおもしろさが滲み出ている部分も個人的に好きです。色々なジャンル…続きを読む