さいしゅうわ




 菱田くんへ


 きみがこれを読むときは、もう私はいません。菱田くんの隣にも、同じ世界にも。


 知ってると思うけど、私は前々から心臓がよくなくて、ずっと病院通いだったの。学校にも休みがちだし、きみに苗字も覚えてもらえないほど、ね笑


 でもまぁ、結構よくなってきてたんだけど、やっぱりダメで。また戻っちゃった。


 だから、これは遺書。



 君に伝えたいこといっぱいあるから。でも、たくさんは書かないよ。このルーズリーフ1枚に収まるようにするからね。字も上手くかけなくなっちゃったし。



 まず最初に、菱田くんと話せてよかったです。私のともだちはみんな部活だから、いつも1人で帰ってたけど、あの日から一緒に帰ってくれて、嬉しかった。


 朝も、遠いのに自転車から歩きにして、私に合わせてくれて。きみ自分のことコミュ障っていうけど、そんなに心配しなくて大丈夫だよ? 面白かったし。



 次に、告白。普通の日の帰り道で、すごく驚いたけど、私もきみに惹かれてた。


 好きってよく分かってなかったけど、告白してくれたときのきみがいいなって思えました。菱田くんのこと、今でも、ううん、ずっと好きだよ。心から。



 そして、病気のこと。


 知ったとき、自分のことみたいに泣いてくれて、なんだか変な気分だったけど、そんなに私を思ってくれてることが嬉しかったよ。入院になってからも、毎日私のすきな食べ物とか持ってきてくれたりもしたし、なによりたくさんお話してくれて、ありがとう。


 君がいるから、生きてこれた。私は今こうやって、手紙をかけてるの。



 他にももっと伝えたいこといっぱいあるけど、長いのはよくないね。あんまり綺麗な字が書けなくて、ごめん。


 遊園地も、東京デビューも、受験勉強も大切な思い出だよ。同じ高校には行けなかったけど、それでもたくさん一緒にいれて、よかった。本当に、本当にありがとう。



 そして!

 あの日、筆箱忘れてくれてありがとう!



 きみに出逢えて、よかったです。

 これからも、天国で見守ってます。


 忘れてください、とは言いません。でも覚えていなくてもいいから。きみのことも、きみとの思い出も、私が全部、ひとつ残らず覚えてるから。



 大切な人見つけてね。幸せになってね。


 また、何処かで会える日まで。




よしだ あずみ

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【短編】テストと僕と君のシャーペン ぽんちゃ 🍟 @tomuraponkotsu

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