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(日常のこと)文フリ大阪など

 夏から今までにかけて信じられない忙しさでしたが、ようやく土曜日出勤中に、誰もいない部屋で近況ノートを書けそうです。
 まず、まともに日本語をタイピングしていないので、頭の中から文章を入力するという感覚が抜けています。いったい、日本語とはなんであったか。文章を書くとはなんであるのか。こういうとき「写経」(プロの文章を手書きでノートに書き写すこと)をすれば感覚が戻ってくるのかしら。でも、「写経」しようと思える作家がなかなかいない。どうしたらいいだろう。幸田露伴とか書き写したらいいのだろうか。
 8月から9月にかけては、文フリ大阪開催のための準備に大忙しでした。一番忙しいのは、文フリ東京であり、システムを統括している中心メンバーなのですが、大阪事務局もいろいろあってバタバタしていました。
 で、当日は、代表代行として挨拶をさせていただきました。来れた人、来れなかった人、行けなかった人、行きたかった人、様々な事情でここにいる、いなかった人があります。そのすべてにリスペクトを込めて、ここに開催をしたいと思いますと宣言しました。
 終わりの挨拶も、とにかく感謝を込めました。無事に終わることだけが最低目標だったので、華々しくしたり、途中でフリースタイルラップかまそうとしたりはしませんでした。
 片づけをしているとき、ある若い男の子に「猿川さんですか」と話しかけられました。大学生で、歴史・思想を研究している子で、高校時代に、すさまじいクオリティの歴史同人雑誌を刊行している、未来の日本を背負う人文学者です。その人と、聖徳太子の話をいくつかしました。山背大兄王の死と、ソクラテスの死の話などをしました。話しているとこっちが元気になってきました。あの日、一番印象に残っているのはこの大学生との会話の時間でした。
 私と芦原瑞祥先生とで刊行している『稲麻竹葦』ですが、たいへんな状況にも関わらず、多くの人に手に取っていただきました。聖徳太子という、非常に巨大で困難なテーマでしたが、なんとか二人とも書ききることができました。来年は本牟智和気命をテーマにした小説を書きたいところですが、さっそくいま書いてしまおうかしら。
 10月からは酒場もオープンし、クラブもイベントが多くあって、街に活気が戻りつつあります。まるで風邪が治る瞬間のように、いきなり「はい、規制終わり!」だったのですが、なんともあっけないものです。しかし、マスクの文化はこのまま残しておいてほしいかもしれません。だって、おじさんがしゃべると唾がとんで、すごく嫌だからです。いや、私もおじさんなのですが、マスクがあると、唾とか、口臭とか、いろいろ生理的なものの嫌悪を防ぐことができて、とてもいいんですよね。なので、マスク文化は残し続けてほしい。それから、めちゃくちゃなつめつめの席。ライブとか、一部の飲食店のお店とか、どうやって座るねんというくらい、席がせまいことってありました。演劇の舞台を観に行くときの、あの劇場の席って、人間が座れる広さじゃないです。めちゃくちゃ隣に気を使いながら座らなきゃいけないし、トイレに行くのも大迷惑をかけて大変。コロナ禍で席が余裕のある配置となったおかげで、観客のほうも過ごしやすく楽しみやすくなっていたように思います。
 そういった、コロナ禍で実現していた「配慮」的なものは、消えていくのでしょうか。解放感は確かにありますが、コロナ禍で生まれたマナーや気遣いや便利さはこのまま残してほしいと思います。研修会や勉強会や講座も、オンラインであることにより、恩恵を多く授かりました。ヒップホップ講座というイベントがオンラインになることによって、晋平太と1対1でサイファーが出来たのですから。オンライン文化がどうか廃れませんように。
 それから、本当にこっそりとですが、ブンゲイファイトクラブというところに投稿しました。たぶん、落ちるだろうけれども。なんというか、参加することに意義があるというか、とにかく何か出しておかないと、本当に頭の中が腐ってしまいそうだったのです。無事に間に合ってよかったです。
 さらには、芦原瑞祥先生が、デビュー作「まほろばの鳥居をくぐる者は」を発刊しました。
 https://www.kadokawa.co.jp/product/322102000890/
 そのレビューを、大阪文学学校の雑誌「樹林」に投稿しました。無事に掲載されるかしら。絶対手に取りたくなるような書評に仕上げました。小説じゃなくて、本のブックレビューもどきみたいなのをずーっと続けていたら、わりと書評がうまくなってしまい、いまや小説よりも評判がいい有様です。悲しいことです。物語のほうも、頑張りたいと思います。
 いろんな企画がツイッターのTLとかで流れてきます。公募のことも考えながら、参加を積極的にしてみたいと思っています。
 話題があっちにこっちに飛びましたが、今日はこれにて。

2件のコメント

  • 大阪文フリお疲れ様でした。難しい判断が求められる状況下にあってリアル開催していただいてこそ、私も何冊も手に入れることできました。ありがとうございました。
    貴兄のますますのご活躍および芦原瑞祥先生の次作に向けてのご健筆を祈念しております。かげながら(笑) 高坂正澄
  • 高坂正澄様
    コメントありがとうございます。
    いやはや、精神力の強い者が生き残るというか、本当に凄い経験をしました。
    なんていうか、自分はいったい何と戦っているのだろうか……というような。
    それもこれも、やはり東京の文フリ中央スタッフが優れた判断と経験を有していたからこそ乗り切れたことでした。私はその指示をできるだけきっちり実行しようと努めました。
    またぜひ、来年もイベントをお楽しみ下さいませ。そして応援、いつも感謝しております。
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