概要
返事のできないラジオに、それでも返事を書いた
深夜、団地の五階からミニFMの電波が流れている。半径二百メートル。届く範囲はこの団地だけだ。送信機の前に座るミナは、父の遺した機材で、誰に向けてともなく声を送り続けている。
四階に住むコウは、偶然その声を受信した。返事をする手段はない。それでもコウは、放送が終わるたびにメモ帳へ言葉を書いた。「聴いています」「今夜も眠れました」——届かないことが前提の返事を。
言葉は交わされない。名前も知らない。それでも二人は、同じノイズの中で同じ夜を過ごしていた。
四階に住むコウは、偶然その声を受信した。返事をする手段はない。それでもコウは、放送が終わるたびにメモ帳へ言葉を書いた。「聴いています」「今夜も眠れました」——届かないことが前提の返事を。
言葉は交わされない。名前も知らない。それでも二人は、同じノイズの中で同じ夜を過ごしていた。
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