2話「悪魔派残党•カギヅメ」

クソッ……今日は飯にありつけなかった。

魔物派だかキメラ派だか知らねぇが、無駄に強ぇ怪物を作りすぎなんだよ。

自然の摂理を壊してる? 笑わせんな。

壊されてんのは――俺の飯場だ。


……ん?


森の奥。

揺らめく火の気配。


飯か?


奪うしかねぇだろ、そんなん。

誰のもんだろうが関係ねぇ。


悪魔派残党――カギヅメ。

生きるためなら、なんだってやる。


――行くぞ!


 

墨「……なぁ、日丸。援護を頼めるか?」


火のそばにいた二人組。

もう気づかれてやがる。


日「突然ですね。魔物ですか?」

墨「いや、もっとタチが悪りぃ。どっかの残党だろ」


チッ。

警戒されてるってことは、俺の“気配”を感じ取ってるってことか。


だが――

警戒してる=ビビってる、ってことでもある。


いける。


墨「俺が言うのもなんだが、もう少し危機感持った方がいいんじゃねぇか?」

日「それは……少し気になりますね……」


――今だ。


行くぞ、トウッ!!!


 


墨「そこか――心・開門!(しん・かいもん)」


視界が反転した。


……いや、違う。

斬られたはずなのに、痛みがない。


カ「ぐばぁ――っ!……あれ?」


体じゃない。

切られたのは、もっと奥だ。


墨「オメェは、ちっと自分を顧みた方がいいかもな」


何を――


目の前が歪む。

炎、血、叫び声。

俺が壊してきたものが、勝手に浮かび上がる。


日「……意外と小柄、ですね?」

カ「なんだか知らねぇが……テメェら、覚えておけよ!」


言い捨てて、俺は逃げた。

これ以上、あの場にいたら――

何かを失う気がした。


 


日「……なんだったんでしょうね、彼」

墨「気にすんな。過去に縋るしかねぇ亡霊みてぇなもんだ」


焚き火の向こうで、あの男がそう言った。


日「さっき叫んでた技、なんなんですか?」

墨「いざ聞かれるとちょっと恥ずかしいな。……ま、あいつの“心”を、少し覗いただけさ」

日「???」


 


……なんなんだ、あいつら。


特に、ヘンテコな腕の男。


怖かった。

だが、それだけじゃない。


――切られた瞬間。

なぜか、否定されなかった気がした。


……優しかった?


馬鹿言え。


俺は悪魔派残党だ。

考える必要なんてねぇ。


とりあえず――

飯を探す。


だがその違和感は、

しつこく胸の奥に残り続けていた。

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