制度の隙間に落ちていく命を前に、
「救える仕組みそのものを作り直す」という大きな問いを静かに投げかけてくる物語です。
病院船〈スクナ〉というSF的な舞台にありながら、描かれるのはとても現実的な医療の矛盾と、そこに立つ人々の覚悟。
AI〈HAKUTO〉は未来の万能さを示す存在ではなく、
むしろ人が決断しなければならない瞬間を際立たせます。
医療ドラマを越えて、
人が集まることで場が立ち上がる瞬間の熱が胸に残ります。
危機の中で生まれる連帯の力が、読後に静かな余韻を落とします。
医療ものが好きな方はもちろん、
群像劇や社会派の物語を求める方にも響くと思います。
医療現場は疲弊している、というのはニュースでも耳に入ってきます。
医療が衰退すればそれだけ、救われる命が減るのは厳然たる事実。
こちらはそういう問題を提起して、技術を活用共存して一つの解決をはかる試みの作品になります。
極めてあり得そう、と思えるところが面白かったです。
多くの協力が得られたなら、誰かが本当に決意した場合実現することも夢じゃないな、と思えました。
過疎化する地方に住んでいるので、医療の衰退は不安ですし、移動航行が自由にできる医療機関というのはとても魅力的に聞こえます。
カクヨムでもちょっとAIが問題として話題になっていましたが、技術の有用で正しい使い方や可能性を提示することにも作品の意味を感じます。