第5話 チェックマーク

職員室で、実習の書類が回ってくる。


佐藤は、ペンを取り、「合格」の欄に、チェックを入れた。


カチリ、という小さな音。


それは、世界を変える音ではない。


でも、花子の中で、何かが、確かに終わった。


夜の打ち上げは、駅前の居酒屋だった。


短大の実習生たちが集まり、それぞれの苦労話を、少し誇張しながら話している。


花子は、端の席で、ゆっくりと飲み物を口に運んだ。


「お疲れさま」


隣に座った佐藤が、そう言った。


「よくやってましたよ」


それ以上は、何も言わなかった。


家に帰り、紙袋を開く。


淡い青の布を、机の上に広げる。


手は、白いままだ。


でも、次は、少しだけ、青くなってもいい気がした。

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