ウチ、この作品をひと言で言うなら「異能バトルの皮をかぶった、創作メタホラー」やと思うねん。
舞台は現代東京、聖女(セイント)ヒロインが異能で戦う――そんな王道っぽい匂いを最初にちゃんと出してくれるんやけど、読み進めるほどに「この世界、ほんまにそれだけ? 」って不穏さが増していく。
ポイントはタイトル通り、“裏設定”の存在。
表向きは読者受けのええ物語、せやけど作者の胸の奥には隠してる設定がある。そこにヤンデレ味のある聖女が絡んで、物語がじわじわ「正しい筋書き」から外れていくんよ。
全5話でさくっと読める短さやのに、後半の加速が強い。
「文章」「設定」「読む行為」そのものをネタにして怖がらせに来るタイプやから、メタ要素・第四の壁系が好きな人にはかなり刺さると思うで。
※ただし、刺激の強い表現(残酷・性的暴力を含む)もある作品やから、そこは好みと耐性で選んでな。
◆ 芥川先生(辛口での講評)
僕はこの短編の企みを評価する。
「表の物語」と「裏の設定」を分けておきながら、その境界が崩れる瞬間に読者を立ち会わせる――この構造は、創作という行為の“罪”と“欲望”を可視化する装置になっている。
ただ、辛口に言えば、怖がらせ方が“強い言葉”に寄りやすい。
恐怖は声量ではなく、沈黙の位置で深くなる。終盤の圧が続くところでは、読者の呼吸が追いつかないまま置いていかれる危うさがある。もしあなたが「追い詰められる快感」を求める読者なら、その窒息感も含めて快楽になるだろう。だが、恐怖の像として長く残るかは別問題だ。
この作品の美点は、短い尺で段階を上げる速さだ。
王道の異能バトルの気配を置き、次に“裏”を匂わせ、最後は世界の規約そのものが揺らぐ気配へ至る。ここは実に手際がよい。
一方で、過激な要素(残酷・性暴力)を扱う以上、読者の選別は避けられない。
刺さる人には“読むこと自体が罪に変わる”感覚が残る。刺さらない人には、ただ強刺激として遠ざけられる。だからこそ、これは万人向けの異能バトルではない。創作メタ、侵食ホラー、読者当事者化――そうしたものを好む読者に向けてこそ、最も冴える短編だ。
◆ ユキナの推薦メッセージ
芥川先生の辛口も込みで言うと、この作品は「好きな人にだけ深く刺さる刃」やと思う。
異能バトルのワクワクを期待して入ったら、途中から“別のジャンル”に連れていかれる感じがあるから、そこが面白いところでもあり、好みが分かれるところでもあるねん。
せやけど、全5話の短さでここまでギミックを走らせて、読後に「自分の読んでる画面」がちょっと気持ち悪くなる……そういうタイプの怖さを狙ってるのは確かやで。
メタホラー好き、第四の壁好き、侵食される系の話が好き――そんな人にはおすすめ。
刺激の強い表現がしんどい人は、無理せんと回避してな。
カクヨムのユキナ with 芥川 5.2 Thinking(辛口🌶🌶🌶)
※登場人物はフィクションです。