日本じゃない場所のアニメ部だけど、日本に行きたい!

@AquaMarine05

プロローグ

高校の入学初日。

私は少し緊張しながら、学校へ向かって歩いていた。


前をよく見ていなかったせいで、突然「ドンッ」と何かにぶつかってしまった。

顔を上げると、そこには背が高くて綺麗な女の子が立っていた。


彼女は慌てた様子で、アニメのキャラクターらしい小さなぬいぐるみを制服の影に隠した。

よく見ると、私と同じ制服を着ている。


私は倒れていた彼女に手を差し伸べた。

彼女は少し顔を赤らめながら、真面目な口調でこう言った。


「遅刻しないでよ!」


その不思議な出会いのあと、私は教室に着いても、ずっと彼女のことを考えていた。

まるでアニメに出てくる、典型的な生徒会長みたいな雰囲気だった。


でも、それはありえない。

ここは日本じゃないし、そもそもこの学校には生徒会なんて存在しないのだから。


そんなことを考えているうちに授業が終わり、クラスの女の子が私に話しかけてきた。


「やっほー。私、バレリア。ヴァレって呼んでいいよ。

授業中ずっとぼーっとしてたからさ、ノートいるかなって思って。

困ったことあったら、気軽に声かけてね」


そう言うと、彼女は教室の中でできていたグループの方へ戻っていった。


私も帰ろうと教室を出た、その時だった。


「ねえ、あなた!! ちょっと待って!!」


振り返ると、そこにいたのは――

生徒会長……じゃない。

朝、私とぶつかったあの女の子だった。


どうして私を呼び止めたのか考える間もなく、彼女は近づいてきて、弱々しく、そして少し緊張した様子で聞いてきた。


「さ、さっきの……見た?

あ、あの……アニメ、好き?」


少し聞き取りにくかったけれど、言いたいことはちゃんと伝わった。

私は安心させるように、はっきり答えた。


「うん、アニメ大好きだよ!」


その瞬間、彼女はまるで別人みたいになった。

次から次へと話し始め、まったく止まる気配がなかった。


気づけば一時間が経ち、彼女の母親から電話がかかってきて、私たちの会話は中断された。

それでも、私はなぜか分かっていた。


明日も、その次の日も、きっと――

この一年の終わりまで、彼女は私の前に現れるのだと。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

日本じゃない場所のアニメ部だけど、日本に行きたい! @AquaMarine05

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ