第23話 【21】フリージアの祖国
――――学園には定期的に長期休暇がある。夏休みや冬休みは前世のようにあるが、長さは1ヶ月以上ある。
「夏休みかぁ、楽しみだな。シギ」
「きゃっ」
「結構長めだけど遠距離から来ている学生のための帰省日数らしいぞ」
「きゃきゃーん」
しかし帰省せずに学園で勉学、研究に励んだり冒険者として鍛えたりする学生たちもいるらしい。
「俺たちは冒険者でもしようか?」
「きゃ?」
「美味しい肉もたくさん食えるぞ」
「きゃーっ!」
相変わらず食い意地はってるなぁ。
「でも学生の身分だから見習いとしてなんだけど」
「きゃーきゃーん」
そして必ず先輩冒険者がつくらしい。先輩冒険者は指名をせずギルドの紹介を受ければ、指名料や依頼料は学園持ち。稼ぎたいものや経験値を得たいものは積極的に参加する。
そう漠然と考えていた時、フリージアがこちらの寮に遊びに来たのだ。レベッカと共に出迎えれば早速お茶を出してあげる。
「その、クォーティア公国に来てみない!?」
そうフリージアから招待を受けた。
「その……冒険者活動とか、そっちの予定がなければ……だけど!」
「いや、その……俺たちもまだ予定は決めてなかったんだ。冒険者活動は考えてたんだけど」
「そうなの。でもできればフリージアも一緒に楽しみたいと思っていたところだったのよ」
レベッカもフリージアからの思わぬ誘いに嬉しそうだ。
「きゃ?」
シギが俺を見上げてくる。
「夏はフリージアとシルフィの祖国に遊びに行くんだよ。お前にとっても……祖国かな?」
「私もクォーティアの騎士さまを迎えられるのが楽しみだわ!」
「きゃ?」
フリージアの騎士さまと言う呼び名にもまだピンと来てはいないようだ。
「けど、どちらかと言えばシルフィとたくさん遊んでくれると嬉しいわ」
「きゃっ!」
シギの言葉にシルフィもフリージアの脚の陰からひょっこり顔を出し、嬉しそうに頷く。
「そうだ、ルオさんたちも……」
誘ったら来てくれるだろうか。
「まぁ保護者だから俺たちも付いていくよ。大穴の様子も見に行きたかったしな」
「ルオさん!?」
またいつの間に。神出鬼没が過ぎるよ。
「……でも大穴って?」
「クォーティア公国の領土内にある謎の穴ね。それはまさしく穴。かの大戦の際に黒魔竜が空けたとも言われているけれど、誰も中に入れないから真相は謎なのよ」
とフリージア。
「シギが空けたの?」
「きゃー……きゃ?」
本人は自覚なしなようだが。
「でも何で誰も入れないんだろう」
「ああ、それな。俺が誰も入れないように閉じたんだ」
ルオさんが!?
「でもどうして……」
「大事なものがあそこにあるんだよ。一緒に来るなら見に来るか?そっちの嬢ちゃんもクォーティアの姫さんだからなぁ。来ていいぞ」
「いや……そのロジーの保護者が何者なのかほんと謎よね」
うーん、神さまだとか言うわけにも……いかないよな?
【言ってもいいぞ】
いやいやルオさん!?いきなり念話で……てかそんなの言ってもフリージアが戸惑うだけだって。
【案外適応力がずば抜けてるかもしれないぞ。クォーティア国民ってのもあるが、黒魔竜がいても普通に仲良くするし魔族のレベッカともすぐ友だちになった】
まぁ……そこがフリージアのいいところなんだけどね。
「それにそうだ、滞在しながら冒険者活動もしてみない?クォーティアでも依頼はたくさん受けられるわよ」
「それはいいかも!」
「ええ、ロジー!」
フリージアの祖国。どんなところなのか、今からでも楽しみだ。
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