第8話 腹を切れ!


「いやああぁっっ!!」

 キンキン!カインッ!

 月影が連撃を放つが、全てミカエラに往なされる


「遅い、ほら脇がガラ空き」

 ズバッ!

「!!」

 隙を突かれて月影の右腕が地面に落ちる

 鮮血が迸り、辺りを染めた


 ミカエラは月影の腕を拾うと、蹲る月影に充てがい治療魔法で治す

 瞬時に斬り落とされた右腕が元通りにくっつき出血も止まるが、斬られた痛みと記憶は消える訳では無い


「闇雲に刀を振ってはダメよ、今みたいに隙を突かれて、もしアタシが腕じゃ無くて首をねらってたら、アンタ死んでたわよ?」

「 …… はい、御免なさい、母上」

「今日はここ迄にしようか、失った分、血を回復しないとね?」


 治癒魔法で傷は治るが、切られた着物はそのままだし、失った血も足りないままだ

 月影は言われて少し目眩を覚える


「でも母上、咲耶母様も母上の血を飲んで不老不死に為ったと聞きます。もしかして、私も不死の血を受け継いでいるのでしょうか?」

「あ〜、そんな事も在ったっけ?」


 昔、家族で露天風呂に入った時にのぼせて鼻血を垂らしたミカエラの血を咲耶が舐め取った事が在る

「でも、例え不死身だとしても油断しちゃダメよ?自分より神格が上の相手には通用しない場合も有るから」

「はい!」


 ミカエラは元々は聖女である

 それがペンティアムとルシフェラの祝福を受け、人々から崇められる内に人間で在りながら昇神し、魔神と為り鬼神と為り神竜魔人と為り剣神を経て、最後には創造神を討ち倒し宇宙を司る至高神と為った


 ペンティアムに依ると、世界とは宇宙だけに留まらないらしいが、実際に宇宙の果てを超えても何だか良く解らなかったから、それ以降考えるのを止めた


 母親と同じ剣神を目指す月影にとり、咲耶とミカエラは憧れであり、いつの日か倒すべき目標でもあった


「いつか母上から1本取ってみせます!」


「その意気ね♡」

 狐神の血も受け継いだ月影は眼が良い

 なまじ眼が良いせいで、ミカエラの様な野生の勘が鈍っているのかも知れない


 そこへイクリプスがやって来る

「お母さん、只今戻りました」


「あらイクス、お帰り」


「あの … もしかしてフェニックスはライゼンが?」


「ええ、ライゼンが生け捕りにして持って来たわよ?アンタも一緒だったんでしょ?」

「まあ〜、一緒と言うか、何て言うか …… 」


あの子ライゼンはイクスの様子を見に行くと言って直ぐに戻って来たけど、アンタ3日も何してたの?クレスが心配してたわよ?」


「アハハ … 実はライゼンにビンタされて気を失ってました」


「はあ?情け無えな、男の癖に」


「士道不覚悟っ!!切腹なさいませ!」

「えっ?」

 横で話しを聞いていた月影が指を指して叫ぶ


「如何に好いた女子おなご相手とは言え、余りに油断が酷う御座います!男なら潔く腹を召されませ!」

「ええぇ〜?ちょっと待って?」


「待ちません!その覚悟も無く生き恥晒すと言うならば、素っ首落として見せましょう!」

 月影は十文字一徹を抜く

 彼女は本気だ


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