冒頭から「それ」としか呼ばれぬもの。無情な生い立ちのなかに育ち、人間性を培われない環境で生き抜いた「それ」は、ふとした契機で、たやすく一線を越えた。その業に憑かれるように、否、その業をはねのけるに足るものなどは、そもそも「それ」の中に育まれることはなかったのか。業のままに突き進んだ「それ」はとうとう、人が人である最後の境界をすらも超えて……。タイトルに偽りなし。これは「ある食人鬼の物語」。
人を食べるということに少し愉悦を感じる気がして怖かった。1話完結なので読みやすく、わかりやすかった。