裏山で謎の植物「ハナコドモ」を食べてしまったヒロイン。そこから異変がはじまります。
身体の変調を治そうと街を走るヒロインですが、この辺りからこの小説世界の訳の分からない異様さに気づき始めると思います。
幽霊、犯罪、戦争。世の中には怖いものがたくさんありますが、「常識が通じない」これが何より一番怖いです。
そしてこの小説世界の放つ妖しさが、ピンク色でけばけばしくて、惹きつけられるものがありますよ。
ハナコドモを食べてしまったヒロインが、この妖しく不気味な世界で誰と出会い最後にはどうなるのか……ぜひ貴方の目で確かめてみてください!
(ちなみに同作者様の異世界ファンタジーも物語と文章、キャラクターがすごくかっこいいので、テイストは違いますが凄くおすすめです!)
なかなか解釈が難しい作品だ。
作中に出てくるハナコドモやハナオトナなどの言葉はなんらかのメタファーや象徴であるように感じる。
二十歳の主人公は裏山でモリカッパを探している時に誤ってハナコドモを食べてしまったという。
それは美味しそうなにおいがするが食べてしまってはダメなものだったようだ。
このままだと、母のように主人公はハナオトナになってしまうらしい。
ハナオトナはハナコドモと違って、噎せ返るような甘ったるい蜜をだらだら垂れ流す存在だという。
まるで未成熟な乙女が熟れた大人の女性になるような描写ではないか。
また、ハナという言葉にどこか性的なにおいを嗅ぎとってしまうのは私だけだろうか?
実際、幻想的な暗喩で巧妙に隠されているが、どこか性的な描写がこの作品には多い。
子供はいずれ嫌でも大人になってしまうということだろう、様々な意味で。
作中の描写はどこかグロテスクで、直視すると正直、気持ち悪さを感じてしまう。
しかし、奇妙なことだが、同時に美しいとも思うのだ。
そういうアンビバレンスな感情を常に抱かせてくる圧倒的な文章に私は酔いしれてしまった。
あなたも是非、この美酒のような小説を読んで、心地よい酩酊状態に陥ってください。
ハナコドモ、ハナオトナ。
冒頭から独特の単語が登場しますが、本作の主題は『子どもから大人になること』あるいは『少女から女になること』なのかと感じました。
独自の単語や世界観は、主題を甘く毒々しく表現するための手段の様に思えます。
主人公の少女が抱えているであろう感情は複雑です。
大人になることへの嫌悪、違和感、不快感。
一方で、身体が成熟することによる、諦観にも似た、静かな受容。
少女が女になること。それを、甘くて毒々しい言葉で綴った、稀有な短編です。
本作には性行為や性産業を暗喩すると思われる表現が出てきます。苦手な方はご注意下さい。
短い中でも「怪奇と幻想、そして耽美な世界」がこれでもかと濃縮されていました。
主人公である私は、裏山で「ハナコドモ」を食べてしまったという。それは食べてはいけないものだった。
二十歳になり、自分が「ハナコドモ」から「ハナオトナ」になってしまうのではないかと不安を感じるようになる。
ハナオトナというのは「噎せ返るような甘ったるい蜜をだらだら垂れ流す」ような存在なのだという。
自分とは別の生き物のように感じられる母。それに一種のおぞましさのようなものを感じながら過ごす。
本作はなんといっても主人公たちが「なんらかの植物のような別種の生き物」の生態を持っているのが特徴です。
異質な生き物が人間のように振る舞い、それでいて人間と同じように「大人になるにつれての体の変化」に悩むようなこともする。
そういう怪奇な世界観。そして文章の端々から静かに、それでいて濃厚に滲み出るどこか性的な雰囲気。
異形でありながら耽美でもある、ここにしかない独特な世界観が味わえる一作です。
鮮烈にして濃厚に、「何か」が香ってくること請け合いです!