第4話 太平道
「
という字を使うようになっていた。
家を実質的に管理している次兄とともに家と畑を耕すようになり、何かを取りまとめるという経験を経た彼は、あたりを飛び交っている数々の不祥事について
──これが続くのならば、国家が持ちえることは有り得まい
と確信した。それと同時に、これからは世が荒れるという危惧が顔良の中に生まれたのである。
さて、ついこの頃から
「
不安定な世情の中、民たちが何かに
そしてなにより、ここ最近の凶作が続く中では、自らの身を安んずることができる場があるというだけで、そこに人が集まるというのは必然の事象である。
だが気になる部分もあった。
まず彼らの教義の上では、特段に内省を要求されて、病が治らなければそれが足りないと理由づけされるのだという。しかし病というものは外からか、あるいはもともと内にいる
そしてもうひとつ。あまりに教えが広まるのが早すぎるという部分である。ふつう、こういった教えというものは孔子がそうであったように、己が何かに
しかし太平道では聞くところによると、自らの弟子の中でも優秀な者を「
これを聞いた顔良は即座に
──これでは指導者を天とする国を作ろうとしているようなものだ
と勘ぐった。
「信仰」というにはあまりに組織化されすぎている。もしも頂に立つものが漢に反旗を
その後、太平道に関する情報が顔良のもとに入ってくるのは早かった。それもそのはずで、教祖である張角は
物理的な距離の近さが、情報伝達の速さと正確さにつながっていたのである。
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